コロナで自宅にいる時間が長くなりましたね。こんなときは、エミリー・ディキンソンという女性詩人を思い出します
私が彼女を知ったのは、「ソフィーの選択」という映画からでした。古い映画で知らない方も多いようですが、
最近BD化されてるので、ネットでもレンタルでも見れると思います。まあ、知ってる方には、知る人ぞ知る、有名な映画、名作、メリル・ストリープがアカデミー主演女優賞に最初に輝いた作品であり、メリルがメリルたる映画。クレマー・クレマーで助演賞はとってましたが、この映画で彼女の存在は一気に大きくなっったような。その証拠にオスカークィーンと呼ばれるように何度もノミネートを受けて記録まで作って、なかなか受賞できなかったのは、この映画のソフィーのインパクトがあまりにも強烈で、また本当にポーランドなまりの悲しげな女性そして謎めいた女性、その過去に何があり、何を彼女は選択したのか、それは大きく2回選択することになるのですが、その存在感があまりにも大きくて、29年たたないと二度の目の受賞は出来なかった。そういう映画だと思います。
その映画の中でこの詩人の詩がでてきます、最初はチャールズ・ディケンズと間違えてて、それが女性の詩人でその詩人の詩のきっかけから一人の男性と出会っていくのですが。そして、そこで語られてる詩こそ、この映画のストリーそのものなのです。じつはもう一つ彼女の詩がでてきます。これは最後にもスティンゴが朗読しますね。
だから、名前だけはうる覚えで知ってました。たまたまWOWOWのオンデマンドで
をしって確かソフィーの選択の詩人でなかったと何げに簡単な気持ちで見たのですが。この映画の最初のシーン、信仰をもって救われたいひとは右へ まだ決心はつかないけど、いずれはと思う人は左へ で、ぽつんと一人残るのがエミリです。この最初のシーン大好きです。
予告にあるように30代くらいから50代に亡くなるまで家であまり外にはでませんでした。彼女の住んでるところはボストンの近くでアマストで、ハーバードとかはいわゆる日本でいう自由主義神学になってきて、その反動としての信仰覚醒運動いわゆる原理主義的な(アメリカは進化論を否定したり、ファンダメンタリズム(根本主義)の教派がプロテスタントでは政治的な力をもってる)が起きてる南北戦争前後の時代、「少年よ大志を抱け」のクラークや無教会主義の内村鑑三とかもこの場所と関係があります。彼女自身堅信礼を拒み、そのため教会での洗礼式に預かれなかったのが彼女が外に出なくなっていった理由と言われてます。
ひたすら詩を書いて、しかも生前は10編くらいしか世にでていなくその当時は全く無名。死後、部屋から1800編あまりの詩がきれいに整理された形で見つかり、それがアメリカを代表する詩人の一人として世の中に認められていく。家の中にしかいなかったのに、なぜ彼女の詩が計り知れない広さを持つのか、今でも研究がなされシンポジウムがなされるほどの詩人です。この映画はそういう彼女がどう生きたかを、想像して作られたもので、彼女の人生は謎のままです。でも何冊も彼女の本がでています。
またターシャ・テユーダの絵本でエミリーの詩に絵をつけた 眩しい庭へ
って本がありますが。窓からみる自然の描写一つとっても、なにか子供心を忘れてないような視点で描かれてる。そう思うと、こうやって家でいることって、また違う捉え方が出来るものなのか。でもエミリーには感心しますね。彼女の詩を2つ紹介します。
わたしは誰でもない人! あなたは誰?
あなたもーーーまたーーー誰でもない人?
それならわたし達お似合いね?
だまってて! ばれちゃうわーーーいいこと!
まっぴらねーーー誰かであるーーーなんてこと!
ひと騒がせねーーー蛙のようにーーー
聞きほれてくれる沼地に向かってーーー六月じゅうーーー
自分の名前を唱えるなんて!
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わたしは「死」のために止まれなかったのでーーー
「死」がやさしくわたしのために止まってくれたーーー
馬車に乗っているのはただわたしたちーーー
それと「不滅の生」だけだった。
わたしたちはゆっくり進んだーーー彼は急ぐことを知らないし
わたしはもう放棄していた
この世の仕事も余暇もまた、
彼の親切に答えるためにーーー
わたしたちは学校を過ぎた、子供たちが
休み時間で遊んでいたーーー輪になってーーー
目を見張っている穀物の畠を過ぎたーーー
沈んでゆく太陽も過ぎたーーー
いやむしろーーー太陽がわたしたちを過ぎたーーー
露が降りて震え冷えを引き寄せたーーー
わたしのガウンは蜘蛛の糸織ーーー
わたしのショールはーーー薄絹にすぎぬのでーーー
わたしたちは止まった
地面が盛り上がったような家の前にーーー
屋根はほとんど見えないーーー
蛇腹はーーー土の中ーーー
それからーーー何世紀もたつーーーでもしかし
あの日よりも短く感じる
馬は「永遠」に向かっているのだと
最初にわたしが思ったあの一日よりもーーー