先週のチューリップ賞、ディープインパクト記念を見ると、本格的なトライアル、そしてクラシックの足音を感じます。しかし、中身は大波乱。チューリップ賞は、3連単160万越え。ディープインパクト記念も30万です。まったく混乱状態のクラシック前哨戦でした。勝ち馬に共通するのは、キャリアの多い馬たちでした。昨今の前哨戦を使わない少ないキャリアの馬たちと違い、チューリップのスイープフィートは6戦目。ディープ記念のコスモキュランダも7戦目でした。一概にキャリアの多い馬は先が見えていると評価を落とす場合がありますが、馬が競馬を覚え、流れに乗って力を発揮するという事もあるのでしょう。前者の父はスワーヴリチャード、後者はアルアインと、新しい種牡馬たちです。スウィープの決め手、コスモの捲り共に新勢力の参入を感じました。しかし、ますます今年のクラシックが一筋縄ではいかないとも感じたのです。

 

 さて、先週は7人の調教師が引退され、新規騎手8名がデビューしました。初勝利一番乗りは、柴田裕一郎騎手でした。これからの長い騎手生活で、忘れられない日になったことでしょう。

 引退された調教師は7名、思い出多い方もいます。中でも安田隆行師は、騎手として680勝、調教師として967勝。騎手ではトウカイテイオーによるダービーを、調教師としては短距離王者のロードカナロアを育てました。2019年には62勝をマークし、JRA最多勝利調教師となっています。騎手、調教師としてそれぞれ500勝以上は佐藤勇師が騎手として578勝、調教師として1074勝を挙げていますが、それに次ぐ立派な金字塔です。なお、今回引退の加用師も500-500以上の成績を残しました。

 また、安田師は、今を時めく川田将雅騎手の師匠でもあり、人も育てました。次男も調教師になっていますし、自身満足のいく競馬人生だったと思います。

 

 名騎手名調教師にとは言えないのがこの世界。馬を介在にしても、この二つは全く違う世界と言ってもいいでしょう。調教師は経営者なのです。柴田政人、河内、増沢、郷原という名騎手も調教師としては残念ながらイマイチであるのがその証拠でしょう。すでに開業している蛯名正義、明日が初出場の福永祐一という2000勝ジョッキーも苦労することでしょう。でも馬の仕事は夢のある仕事。バトンはしっかり受け継いで走り出してほしいものです。スーツ姿をパドックで見られることでしょう。