先週土曜日は熊沢騎手の引退セレモニーがあったので淀へ行って来ました。最終レース終了後ウイナーズサークルで多くのファンが集まり和やかな雰囲気の中で引退式が行われました。場内のターフ画面で過去の重賞レースの映像が放映され、懐かしく見とれました。中でも拍手が沸いたのはあの有馬記念でした。15頭立て14番人気のダイユウサクによる快挙です。当時最強のメジロマックイーンを破るレコード勝ち。ダイユウサクからの馬券を買っていた私には何度見ても痛快な雰囲気が甦ります。
よく友人にあれは訳が分からん、何故買えるんやとよく言われました。何度も書いていますが、伏線は、2週間前の阪神競馬での改築記念1600mにありました。坂ができ、力のいる馬場で59キロを背負ったダイユウサクは力強く私の前を駆け抜けました。馬主の橋本幸平氏はシンザンクラブのオーナーで、私はシンザン産駒のファンでした。父のノノアルコも静内種場所で見たことがあり、ヨーロッパの名マイラーでした。そんなダイユウサクは自然と応援する馬になりました。
最初はタイムオーバーが続き、今では競走馬になれなかったかもしれない馬でしたが、内藤調教師が時間をかけて調教し、熊沢騎手が主戦となりました。本格化してからはマイル戦に強く、改築記念での強さは絶好調を思わせました。しかし、有馬記念は入着が精一杯だと思われていました。私は1970年代に競馬に夢中になったので、当時評価が高かったマイラーズCの勝ち馬は3200mの天皇賞に勝つ馬が多かったので、距離は大丈夫と思いました。トウメイ、タイテエム、カツラノハイセイコなどが両レースを勝っています。マイルで本当に強い馬は距離をこなすというのが当時私の中にあって、それで有馬ではダイユウサクから馬券を買えたのです。今では分業が進んでそんな両路線へ行く馬はいないでしょう。しかし、ロマンはありますね。ちなみにGⅠにおける私の見た三大番狂わせは、この有馬の他に、ギャロップダイナの秋天、サンドピアリスのエリザベス女王杯があります。
熊沢騎手の話に戻ります。熊ちゃんの愛称で親しまれた同騎手は平地と障害の二刀流として活躍しました。障害レースでは歴代最多の257勝を挙げ、J1の中山大障害にも勝っています。平地では、コスモドリームでオークスを制した時は、20歳3か月の当時のGⅠ最年少記録でした。障害レースで257勝、平地レースで794勝、合計1051勝、内重賞33勝は立派です。なお、ダービー、有馬記念、中山大障害を勝った騎手は只一人。加賀武見騎手です。私は二刀流三冠騎手と呼んでいます。熊ちゃんは、ダービーは勝てなかったけれど、オークスに勝っているので、準三冠二刀流騎手かな?
怪我がなければまだまだ乗っていたはず。でも55歳まで乗ったのは「あっぱれ」です。インタビューにもう一度生まれてきても騎手になりたいと笑顔で話した熊ちゃん。涙のない熊ちゃんらしい引退式でした。 サヨナラ熊ちゃん!