2月末は、引退騎手、調教師のお別れの月です。福永祐一騎手の引退が連日大きく報道されていましたが、調教師は5名の方が引退されました。五十嵐忠男、池添兼雄、大江原哲、橋田満、南井克巳さんです。それぞれご活躍された方々ですが、やはり印象に残るのは、南井師です。調教師成績446勝、GⅠもウィングアローのジャパンカップダートで勝利しています。まずまずの成績だと思いますが、やはり騎手としての印象が強いです。騎手として通算1527勝、重賞77勝、GⅠ16勝でした。最初は地味な成績でしたが、タマモクロスと出会ってからは一流騎手として名を上げました。負けず嫌いで闘志を前面に出す騎乗は多くのファンを引き付けました。

 

 かつて、加賀武見騎手は闘将と呼ばれました。ミハルカスでシンザンに立ち向かい、奇襲を仕掛けてファンを喜ばせました。クライムカイザーでは、あの強いトウショウボーイを抜群のタイミングで差しました。闘志あふれる騎乗でした。南井騎手は、そんな加賀騎手に似て、ファイター南井を確立していきました。鞭の連打は凄まじく、追って追って追いまくりました。それでも彼の前に立ちはだかったのが天才武豊でした。秋天で、スーパークリークに乗り、うまく内をついて南井騎手のオグリキャップを抑えました。南井さんはよほど悔しかったのか、その後、ふらりと一人旅をしたそうです。あの敗戦が応えたようで一人になりたかったのでしょう。そしてマイルチャンピオンシップを迎えます。

 

 バンブーメモリー武豊がセフティーリードと思えた最後の直線、最内から鞭の連打に応えてオグリキャップが追い込んできて最後交わしました。私はその場にいましたが、勝利騎手インタビューで南井さんは、涙ながらに言いました。まだお返しは半分ぐらい、来週倍返しをします!と。えっ、来週のジャパンカップに連闘で出るの?場内の拍手は凄かった。そして、公言通りホーリックスとの死闘に敗れはしましたが、1番人気の武豊のスーパークリークを破ったのです。ファイター南井の真骨頂でした。

 その後、ハイライトは、1994年ナリタブライアンで三冠と有馬記念、マーベラスクラウンでジャパンカップを勝つという大三冠(ダービー、有馬、JC)を独り占めしたのです。

 

 名騎手、名調教師とはならずとも言いますが、通算446勝は立派なものです。他の名騎手と呼ばれ調教師になった人では、武邦彦375勝、増沢末夫279勝、柴田政人191勝、郷原洋行104勝。現役の河内洋356勝ですから、南井さんは良く勝った方と言えるでしょう。調教師は昔とは違い、マネジメントがより重要視される世界になりました。サウジの日本馬大活躍を見ても、矢作調教師のような視点を持った調教師がリードする時代と言えましょう。いずれにしても、南井師をはじめ5人の調教師さん、お疲れさまでした。