秋天は、オーバーペースのパンサラッサの大逃げが沸かしました。好スタートからバビットやノースブリッジの絡みを突き放し独走。1000m57秒4、1600mは1分32秒4ですから速い速い!1週前の富士S1600mの勝ち時計が1分32秒0でしたから、あと400mは失速するのが当たり前。しかし、前半の貯金は大きく2着に粘り切りました。レースを盛り上げた功労馬でしたね。3歳春までは9戦2勝の普通の馬で、ラジオNIKKEI賞ではバビットから5馬身離されていました。4歳時は故障もあり、伸び悩んでいましたが、4歳秋から本格化。強烈な逃げは他馬の脅威になっていきました。父ロードカナロアのスピードと母の父モンジューのスタミナがうまく合併された感じです。晩成型の5歳馬は、これからも逃げ馬として人気を呼ぶことでしょう。

 

 さて、勝ったのは、上り3F32秒7の鬼脚を使った3歳馬イクイノックスでこちらは天才型でしょうか。デビュー5戦目での古馬GⅠ制覇はグレード制導入以後では最少キャリアという驚き。過去6戦目での古馬GⅠ制覇には、ファインモーション、リアルインパクト、フィエールマン、クリソベリル、レイパパレ、エフフォーリアがいます。フィエールマン以降の4頭はここ3年でのもので、日本の競馬が変わって来たなと感じます。3着のダノンベルーガもここが5戦目でした。1、3着が新スタイル?の3歳馬だったのも新鮮に感じました。そして、昨年のホープフルSから続いた1番人気馬の平地GⅠ連敗はここで終止符が打たれました。長かったなぁ。

2、3番人気の4歳馬ジャックドールとシャフリヤールは4、5着と敗れ、強いと言われた4歳はどこかに行ってしまいました。

 

 イクイノックスの父はキタサンブラックで新種牡馬の当たり年だった昨年デビューの大物です。といっても最初はどんな馬を出すのか興味津々でしたが、凄い馬を出してきたものです。前日の2歳重賞のアルテミスSを勝ったラヴェルもキタサンブラック産駒です。イクイノックスの母の父は以前その優秀さを紹介したキングヘイローです。偉大なサンデーサイレンス系に母方の名馬ダンシングブレーヴが入っているのがキラリと光ります。キタサンブラックを所有していた歌手の北島三郎さんも喜びのコメントを出していましたね。歴史に残る名馬です。親子制覇は当レース4組目となりました。ルメール騎手はこれが4度目の秋天勝利。さすがの手綱さばきは秋天マイスターですね。

 

 古い競馬雑誌をたまたま見ていますと、50年ほど前に当時リーディングジョッキーだった加賀武見騎手がある対談で「クラシックの前には7~8戦のキャリアを積んでおく必要があります」と述べていました。当時は調教代わりと言っては語弊がありますが、レースを使って馬を仕上げるのが一般的だったのでしょう。今回の天皇賞を見て時代の流れを感じました。