先週は、新人騎手今村聖奈の話題で大いに盛り上がった夏競馬第1週でした。次々と記録を塗り替える今村騎手は、5月22日で通算10勝目を挙げ、早くも新人女性騎手の最多勝記録を更新、6月19日までの7週連続勝利は途絶えましたが、先週小倉のCBC賞で重賞初騎乗勝利を挙げました。現在19勝と新人騎手のトップを走っています。勝率0.157は新人としては大した数字です。このまま怪我もなくいけば年間50勝も夢ではありません。物おじしない性格で、走るのは馬で自分は邪魔をしないように心掛けているというコメントには、新人らしからぬものを感じます。48キロと恵まれた斤量の3歳テイエムスパーダを迷いなしの逃げで3馬身1/2差での完勝。日本レコードの1分5秒8のおまけつきでした。最終レースも勝ったのは、重賞勝ちに浮かれていない証拠。性別関係なしの大型新人です。

 

 忘れてならないのは、藤田菜七子騎手の存在です。2016年に16年ぶりの女性騎手としてデビュー。男社会の中で頑張ってきました。マスコミに取り上げられることも多く、積極的に海外遠征もしました。藤田騎手の活躍は、騎手を目指す若い女性たちの目標になりました。昨年2名の女性騎手がデビュー。そして今年、10人目として今村騎手がデビューし、現在JRAでは、女性騎手は4名となりました。海外にはもっと多くの女性騎手がいます。厩務員も女性が多いのです。

 

 日本の女性騎手の歴史は意外と古く、1936年に京都で斎藤澄子さんが騎手免許を得ています。ところが、開催委員から「女子は風紀を乱す」ということで、騎手としてレースに出られませんでした。こういう考えは今でもありますね。大相撲がそうです。女性を土俵に上げない、というのが伝統らしいです。嘘八百ですね。江戸時代には女子相撲があったほどです。興行を神事と言い替えて女性を見下しているのです。相撲は大好きですが、古い体質にはがっかりです。

 地方競馬では活躍された女性騎手も多く、8年間で350勝した吉岡牧子さん、一度結婚・出産で引退して後、カムバックした宮下瞳さんが有名です。宮下さんは昨年通算1000勝を記録しています。

 

 女性にとって男性中心の社会で生き抜くのは大変です。いわゆる「ガラスの天井」(グラスシーリング)は、組織内で昇進に値する人材が性別や人種などを理由に直面する障壁を指す言葉です。平等な扱いを受けるべきところを実際には性格差を感じる場面は今の世の中にも一杯あることはご存じでしょう。「女だから」「女のくせに」という性別によって与えられる役割を打破しようと頑張っている女性は何百年も前から存在していました。しかし、ガラスの天井を破ることは命がけの事でもありました。

 

 1913年6月4日、有名なエプソムダービーでの出来事です。レース中、トッテナムコーナーでエミリー・ディヴィソンは、ジョージ5世の馬、アンマーの前に身を投げ出し、4日後病院で死亡します。彼女は過激な女性参政権運動家でした。それから15年後、イギリスでは21歳以上のすべての女性に参政権が与えられたのです。2013年4月、エㇷ゚ソム競馬場でエミリー・ディヴィソンの没後100年を記念する銘板のお披露目が行われました。

 後半堅い話になりましたが、いつか「女性○○」が珍しくない社会になってほしいものですね。