競馬四季報が創刊50年に達したそうです。今はもう買わなくなったけど昔はよく買って研究したものです。段々分厚くなり、東西の統一も成され、ずっしりと重い本になりました。もし、孤島へ持っていく本を1冊選べと言われたら、私はこの本にしたことでしょう。コンパクトにまとめられた情報から競走馬の世界に入り込むことが出来る本だからです。時間を持て余すこともないでしょう。日本競馬文化の象徴として勝手に日本競馬遺産に登録しておきましょう(笑)
ときどき思うのですが、両親、そして祖父母の遺伝はどの程度伝わるのでしょう。競走馬として成功し、繁殖に上がり、子供をデビューさせると、両親の面影を探し、「似てるね、あの追い込みは…」などと話したりしますが、まったく同じものではありません。無茶苦茶走るディープインパクトの子供達でも、その競走能力に一番近づいたと思われるのは、ジェンティルドンナ、グランアレグリア、コントレイルぐらいでしょう。
一方、名馬として種牡馬に迎えられたものの、とても親に匹敵するような仔を出さないものもいます。たとえば、オグリキャップやテイエムオペラオーなどです。この2頭に共通するのは、勝負強さです。競ったら負けないという場面を何度も見ました。毎日王冠やマイルチャンピオンシップでのオグリキャップ、多くのGⅠを僅差でものにしたテイエムオペラオー。彼らは何故種牡馬として成功しなかったのか?オグリは、突然変異ではないかと私は見ています。GⅠ馬は血統的に両親どちらかに良血が潜んでいるものですが、この馬は両親ともに下級馬を出す血統のように見られます。父のダンシングキャップは、ダートの短距離に実績がありますが大物は皆無でした。母系は地方競馬でタフに戦う一族でした。笠松でデビューして一生を終わるタイプとみられた馬ですが、奇跡が起こります。あれよあれよと快進撃で中央入り、ついに日本中を熱狂させるアイドル馬になりました。
テイエムオペラオーの場合は、キングジョージなどに勝った一流の競走成績を持ち、父系はヨーロッパで一時代を築いたサドラーズウェルズという筋の通った血統です。サドラーズウェルズ系は、日本ではもう一つという見方もありますが、オペラハウスは、他にダービーなど4つのGⅠに勝ったメイショウサムソンも出し、重賞勝利は48勝にも昇る成功馬です。テイエムオペラオーは、GⅠ5勝を含む年間8戦8勝の誰も成しえなかった大記録を樹立しました。ジャパンカップでは、世界のファンタスティックライト、ライバルのメイショウドトウとクビ、ハナの接戦を制し、騎乗した和田竜二は「競ったら絶対に抜かれない馬」とコメントしていました。
オグリもオペラオーも競走能力以外に勝負強さが半端ではありませんでした。しかし2頭とも種牡馬としては残念ながら成功はしませんでした。色んな原因はあるでしょうが、運動能力は他の要素に比べて遺伝の影響は大きく、66%と言われています。一方、気性(性格)は、30~40%と言われており、そこが平凡な馬しか出せなかったのではないかという気もします。もちろん父馬だけで決めることではありませんが、運動能力を遥かに超えた気性はあまり伝わらなかったと考えるのも一考ではないでしょうか。
*勝手ながら諸事情により、2か月ほどお休みします。桜花賞前に再開する予定です。(新田 世志郎)