朝日杯は、3番人気のドウデュースが接戦を勝利し、1番人気のセリフォスが2着、4番人気のダノンスコーピオンが3着と上位人気馬が評価通り好走しました。武豊騎手は、これでJRA平地GⅠ24レース全勝利に王手をかけました。何度か王手はかかっていたのですが、大阪杯やホープフルSがGⅠに昇格したりで先延ばしとなっていましたが、ついに後はホープフルSだけとなりました。とんでもない記録ですね。

 朝日杯の2、3着も強い馬で、層の厚さを感じました。2番人気のジオグリフは、後方待機があだとなり、大外に進路を取りましたが、最後はいい脚を見せたが5着。巻き返しは十分考えられます。勝ったドウデュースは、ハーツクライ産駒で、ここより2000mのホープフルSが適距離かと思っていたのですが、母は米重賞2勝のスプリンターという事で、こちらを選んだのかもしれません。武豊騎手は、今回はいい馬に出会ったという事でしょう。阪神JFでもウォーターナビレラで3着と、今年の2歳にはいい手駒が揃っているようです。

 

 そのウォーターナビレラの母系の4代前にトウショウボーイがいます。また、朝日杯6着のトウシンマカオの父はビッグアーサーで、遡るとサクラユタカオーに出会います。どちらもテスコボーイから来ています。1970年代に種牡馬として活躍したテスコボーイは、JRAリーディングを5度獲得した名種牡馬です。その産駒はとにかくスピードが桁違いで、日本競馬のレベルアップに貢献しました。私が少し前に紹介したキタノカチドキもその1頭ですが、トウショウボーイ、テスコガビー、サクラユタカオーを含めて、私はテスコボーイの四天王と呼んでいます。馬体の雄大さからくるスピードは本当にワクワクさせたものです。距離に少し限界はあったものの、2000m以下で負けることはほとんどない馬たちでした。

 

 キタノカチドキは、菊花賞後脚部不安で休養していましたが、太目で1900mのオープンレースに63キロで出て、ラッキーオイチの大逃げに僅かに届かず敗れたのが只1度の2000m以下での敗戦でした。トウショウボーイもダービー後に札幌記念(ダート2000m)に出走し、つんのめるように出遅れて、最後はダートの鬼グレートセイカンにクビ差及びませんでしたが、出遅れさえなければ勝っていたでしょう。同じく2000m以下での敗戦はこの1度だけ。圧巻は3歳時の神戸新聞杯でした。まったくの馬なりでダービー馬クライムカイザーを5馬身ちぎる日本レコードを出したのです。見に行っていた私もこれほど衝撃的なレースは少ないと感じたほどです。その他4歳時のオープンも馬なりで1分33秒6で7馬身差です。乗っていた黛騎手は、ほとんど何もしなかったと驚いています。トウショウボーイは、引退後日高のお助けボーイとして最も人気のある種牡馬になりました。牧場めぐりで会ったときは、すぐに寄ってくるほど人懐っこい馬でしたね。

 

 また、テスコガビーは、桜花賞を大差、オークスを8馬身差で勝った青毛の魔女でした。道頓堀ターフ倶楽部で、「現代名牝展」を開催した時、何人かのオールドファンが、テスコガビーが一番だ!と言ってくれました。現代と名がつくように21世紀以降を対象にしたものでしたが、テスコガビーは印象に強かったのでしょう。惜しくも復帰を目指す途中で心臓麻痺で亡くなりました。何とも惜しいとしか言えません。

 

 サクラユタカオーは、テスコボーイ晩年の傑作です。テスコボーイの栗毛は走らないと言われましたが、毎日王冠、秋天と連続日本レコードを樹立した快速馬で、産駒のサクラバクシンオーを通じて唯一現代までテスコボーイの血を伝えています。新種牡馬ビッグアーサーはその三代目。先の朝日杯6着のトウシンマカオを出しました。ジオクリフとハナ差で、いい競馬をしました。血を繋ぐことが出来ればいいですね。