今年は1991年に馬番連勝複式馬券が発売されて30年目になります。それまで日本では単勝、複勝馬券と枠番連勝複式馬券の3種類しかなかったのです。馬番連勝いわゆる馬連は、早くから要望がありましたが、当時国はギャンブルは必要悪という概念から、高配当が見込まれる馬連には積極的ではありませんでした。枠連の大きな問題は、同枠の人気馬が取り消しても馬券の払い戻しが出来なかったことにあります。各地で何度も騒動が起き、1973年に大レースで人気が予想される馬を単枠指定するという苦肉の策を講じましたが、これは根本的な解決にはなりませんでした。ちなみに単枠指定第1号は、1974年の皐月賞でのキタノカチドキでした。キタノカチドキは3冠競走すべてで単枠指定されるほどの強豪でした。菊花賞まで11戦10勝という好成績でしたが、ダービーだけは3着に敗れました。気性に難があったのと、長距離向きではなかったのが敗因でした。菊花賞に勝てたのは、スローペースと武邦彦騎手(ユタカのお父さん)の好騎乗でした。好位に付けるスピードが持ち味ですが、この時は後方に構えてスタミナを温存し、ぎりぎり距離を持たせる戦法で切り抜けたのです。武騎手は後に単枠指定の重圧を語っています。

 

 キタノカチドキによって種牡馬テスコボーイの革新的なスピード競馬が注目を浴びました。特に1975年のマイラーズカップで、最近紹介した大豪タニノチカラに勝利したレースは日本競馬史の中でも分岐点といえるレースでした。すなわちスタミナからスピードへの転換期という位置づけをしています。その後、テスコガビー、トウショウボーイ、サクラユタカオーという、今まで見たこともないスピード馬が革命を起こします。この上記4頭を私はテスコボーイの四天王と呼んでいます。中でもトウショウボーイは種牡馬としても大成功しましたし、サクラユタカオーは今でもテスコボーイの血を繋いでいます。キタノカチドキは、翌春の天皇賞春でイチフジイサミに敗れますが、私の中では評価を落とすことはありません。彼のマイラーズCでの勝利が何よりもNO1だと評価しているからです。

 

 今週のマイルチャンピオンシップは、グレード制が出来るまで、8大競走の陰に隠れていたマイラーの存在を安田記念と共に高めてくれたレースです。第1、2回と連覇した二ホンピロウイナーの母二ホンピロエバートは、上記キタノカチドキの半妹です。グレード制が出来たタイミングで現れた名マイラーは、競馬ファンにマイラーの強さを印象付けました。1600m以下では18戦14勝2着3回という好成績で、敗れたのも重馬場ばかりという二ホンピロウイナーは、2000mの秋天にも挑戦し、2着の皇帝シンボリルドルフと0.1秒差の3着に健闘しました。(1着はギャロップダイナ)種牡馬としても成功し、安田記念、天皇賞秋のヤマニンゼファーや、高松宮杯、スプリンターズSのフラワーパークなどの名馬を輩出しました。こうして一時代を築いたキタノカチドキ、二ホンピロウイナーは日本競馬史の中で名を残しているのです。

 

 さて、今週のマイルチャンピオンシップは、グランアレグリアとシュネルマイスターの新旧マイラーの一騎打ちとみなされています。グランアレグリアはこれが引退レース。来年2月が定年の名伯楽藤沢和雄調教師は、名マイラーを数多く育ててきました。中でもこのマイルチャンピオンSは、5勝もしています。その他安田記念3勝、桜花賞、阪神JF、朝日杯Fを各2勝、NHKマイルC1勝と全GⅠ33勝のうち15勝がマイルGⅠというマイルマイスターとも呼べる伯楽です。見事引退レースを飾ることが出来るでしょうか。一方のシュネルマイスターも安田記念3着、毎日王冠優勝と力をつけています。名マイラーからバトンタッチという場面も期待されますね。騎手もルメールと横山武史という新旧の戦いが見所でもあります。馬券は平凡ですが、2頭の1,2着固定の3連単で3着にインディチャンプ、サリオス、ダノンザキッド、ホウオウアマゾン、グレナディアガーズの5頭。計10点で楽しみたいと思います。