夏競馬の掉尾を飾る新潟記念はマイネルファンロンがハンデ戦らしい横一線から大外を追い上げて重賞初勝利。ミルコ・デムーロ騎手は重賞100勝に王手をかけました。
注目したのは、父のステイゴールドです。この勝利で重賞113勝目。偉大なヒンドスタンに並びました。ちなみに1位はサンデーサイレンスで311勝。2位はディープインパクトで264勝。3位はキングカメハメハで124勝です。上記の馬はすべてリーディングサイアーに輝いた名種牡馬たちです。ステイゴールドは、30頭以上いる多くのサンデーサイレンス系の種牡馬としては、国内ではGⅠ未勝利で、馬格も小さく、特別期待されていたわけではありませんでした。気性が悪く、まっすぐ走らないなど、関係者は苦労しましたが、騙馬にはならなかったのは幸いでした。大橋巨泉のように日本はもっと騙馬を増やせなどと言った人もいますが、日本人の辛抱強い性格から、よっぽどでなければ騙馬にしないというのは正解なのかもしれません。もし安易に騙馬になっていたら、オルフェーヴルもゴールドシップも出なかったわけですから、良かったのです。
そして、ステイゴールドは、シルバーコレクター、ブロンズコレクターと呼ばれながらも着実に力をつけ、最後の最後50戦目に海外GⅠの香港ヴァーズに優勝。これは日本産馬・日本調教馬による初の国際GⅠ勝利でした。レースもセフティーリードのデットーリ騎乗のエクラールを、ゴール寸前交わしての優勝は、まるで映画のようなドラマチックな引退レースとなりました。騎乗した武豊は「まるで羽が生えたかのような末脚だった」と述べています。帰国後、予定になかった引退式も行われ、国際GⅠ勝利を手土産に、社台ファームが中心になって、シンジケートが組まれ、ブリーダーズスタリオンとビッグレッドファームを行き来する形で種牡馬生活に入りました。SS系の種牡馬は競争も激しく、フジキセキやダンスインザダーク、スペシャルウイーク、アグネスタキオン、ハーツクライなど大物が揃って活躍しましたが、最終的には、別格のディープインパクトを除けば、ステイゴールドが一番大成功したのです。ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴル、ゴールドシップ、フェノーメノ、ウインブライト、インディチャンプそして障害の大スター、オジュウチョウサンまで力強い産駒が駆け抜けました。
ステイゴールドは、2015年に21歳で亡くなりましたが、産駒はまだまだ走っています。マイネルファンロンの勝利で、16年連続JRA重賞勝利を達成。後継のオルフェーヴル、ゴールドシップはすでにGⅠ馬を出しています。オルフェーヴル、ナカヤマフェスタが2着と届かなかった凱旋門賞を今後ステイゴールド系が勝つなんて夢を見るのもよいでしょう。ステイゴールドの底力は、いつも驚かせられましたから、案外夢が叶うかもしれませんよ。