JRAの2月末は調教師の引退、勇退、そして騎手から調教師や調教助手に転向する人たちの別れの季節です。

今年は、歴史に名を遺した名調教師の引退が多く、感慨深いものがあります。現役通算勝利数20位以内に入る調教師の中で、角居勝彦師、石坂正師、松田国英師は、とりわけ存在感があった調教師です。

 

 角居勝彦師は、2001年デビューで762勝、重賞は82勝、内GⅠは26勝です。海外にも積極的に遠征し、アメリカ、オーストラリア、ドバイなどでGⅠ勝ちがあります。20年でこれだけの実績を残した調教師も少ないでしょう。ウオッカによるダービー勝利は、牝馬の時代の幕開けでした。また東日本大震災の時、ドバイでヴィクトワールピサによるワールドカップ勝利には勇気づけられました。そして、若手調教師の指導にも尽力されたと聞いています。まだ56歳という年齢での勇退は惜しまれますが、天理教の布教という選択にはずっと考えてこられたことがあったのでしょう。私たちには分からないことですが、それもまた人生というべきなのでしょう。

 

 石坂正師は、1998年デビューで、690勝、重賞49勝、内GⅠは14勝です。大学卒業後、牧場従業員、厩務員、調教助手を経て、調教師に。代表馬は何といってもGⅠ7勝馬で牝馬三冠、ジャパンカップ連覇で顕彰馬に選ばれたジェンティルドンナです。また、ダートの強豪ヴァーミリアンもダート史に名を残す存在です。

 

 松田国英師は、1996年デビューで、636勝、重賞59勝、内GⅠ14勝です。競馬専門紙のトラックマン出身という異色の経歴を持ち、独自のローテーションで一世を風靡しました。それは、NHKマイルからダービーというローテーションです。英国のクラシック2000ギニーは1600m、ダービーは2400mです。日本でも近代競馬の根幹であるこの二つの距離を克服する馬を育てて種牡馬として送り出すというのが理想で、それは、キングカメハメハで実現させました。他の代表馬としてクロフネ、タニノギムレットも有名です。また新しい厩舎運営でも若手の見本となり、角居、友道、高野、村山などの調教師に影響を与えました。

 三人に共通するのは、チャレンジ精神でしょうか。そこには、今までのやり方、考え方を改革したいという意気込みがありました。

 

 引退調教師では、他にも西浦勝一師(代表馬テイエムオーシャン、カワカミプリンセス、ホッコータルマエ)、田所秀孝師(二ホンピロバロン)、西橋豊治師(プリモディーネ)、星野忍師(ヤマニンアラバスタ)、湯窪幸雄師(カフジテイク)がいます。普通なら、競馬場でお別れセレモニーがあるところですが、新型コロナのため、それも出来ず、寂しいお別れとなりますが、テレビで見守りたいと思います。お疲れさまでした。

 

 そして、騎手では、蛯名正義の引退です。エビショーの愛称で親しまれた武豊と同期の51歳。実働34年、通算2539勝は立派の一語。エルコンドルパサー、マンハッタンカフェ、アパパネ、フェノーメノなどベストパートナーは数知れず。今後は調教師として名をはせてもらいたいものです。ダービーは勝たせてやりたかったなぁ。そういえば、全クラシック制覇をあと一つ取れなかったという名手は、皐月賞の加賀武見、桜花賞の岡部幸雄など、あと一つが遠かったなぁ。今週がラスト騎乗。中山記念のゴーフォザサミットの騎乗を目に焼き付けます。本当にご苦労様!そしてありがとう!