日本の個人馬主として私が挙げるのは、冠名メイショウでお馴染みの松本好雄氏、ディープインパクトやキングカメハメハ、クロフネなどの名馬を所有した金子真人氏、ノアノハコブネ、オレハマッテルゼなどの馬主小田切有一氏がベスト3です。メイショウさんは日高の恩人と呼ばれ、最後の旦那という愛称を持つ大馬主、金子氏は、ダービー馬4頭も所有したこれまた大馬主です。そして小田切氏は、以前から珍名馬の馬主としてマニアの間では有名でした。昔ヒコーキグモという馬がいましたが、父親キーンからの連想でしょうが、そのセンスに唸りました。

 

 小田切さんとは一度だけ話したことがあるんです。ご本人は覚えておられないと思いますが、昔の阪神競馬場のパドックでした。私は若い頃から競走馬の写真を撮っていて、いつもカメラを持ち歩いていました。その頃は競馬場でファンがカメラを持っているのは珍しい事でした。多くのファンは男性で競馬新聞と赤鉛筆が主流でした。今や女性ファンも多く、日本の競馬が成功した要因の一つは、ライブで見る若いファンを獲得できたからでしょう。当時私が友人とパドックで写真を撮っていると、一人の紳士が寄ってきて「馬の写真を撮るのが好きなのですか?どの馬を撮っているのですか?」と聞かれました。私は、「馬がきれいだから撮っています。今日の目当ては、ミスラディカルです」といいますと、「それはうれしい。実は私はあの馬の馬主です」と言われ驚きました。1980年初期には、馬主はパドックの中に入れなかったのかなと思うのですが、どうだったのか記憶にありませんが、まさか馬主さんが気軽に声をかけてくれるとは思いませんでした。

 

 ミスラディカルは、エリザベス女王杯2着や重賞4勝もした名牝でした。青森のタイヘイ牧場産で、後に私は東北地方を車で回った時にタイヘイ牧場に寄り、引退した彼女に会えましたね。小田切さんは、珍名馬の馬主として有名ですが、以前は中々受け付けてもらえない馬名を申請してJRAと何度も折衝されたようです。今はJRAも柔らかくなって珍名も増え、ファンもそれを楽しんでいますが、以前は審査は厳しかったようです。ユ-モアあふれる小田切さんの馬名は、ファンに愛されています。ドモナラズ、ワスレナイデ、ロバノパンヤ、エガオヲミセテ、ドングリなど、懐かしく思い出す珍名馬たち。馬に名前は大事です。アーモンドアイなどを見るとつくづくそう思います。そういえば、コントレイルも飛行機雲という意味でしたね。今年はどんな航跡を残すのでしょうか。