先週の菊花賞で見事に三冠ジョッキーとなった福永祐一騎手は、デビュー以来順調に成績を伸ばし、日本を代表するジョッキーとなりました。お父さんは天才と呼ばれた福永洋一元騎手で、不運な落馬事故で全盛期に騎手を廃業せざるを得ませんでしたが、いまだに天才と呼ばれ、評価されています。祐一騎手は、8人しかいない通算2000勝ジョッキーの一人で、重賞も146勝と歴代のベスト5に入っています。文句なしの一流ジョッキーです。それでも少し影が薄いのは、やはり武豊という偉大な存在があるからでしょうか。いや、逆に武豊を目標に頑張って来たからこそ今の彼があるのだと思います。彼の騎乗は、まさに優等生で、派手さはあまりありません。若い頃、先輩の藤田伸二や田原成貴からは、いい馬に乗っているだけで、勝ちにこだわった騎乗が出来ていないと酷評されていました。園田競馬からやって来た岩田康誠は派手なアクションで勝ちを意識した乗り方で旋風を巻き起こしました。祐一騎手は年も近いせいで非常な刺激を受けたようです。
研究熱心で真面目な祐一騎手は、関係者からの信頼も厚く、応援したくなる騎手でもあります。私たちのグループが競馬場に朝早く行くと、彼は必ず1レースの前に馬場へ出て、芝の様子を確かめています。彼が歩いているのをよく目にするのです。そんな努力が実を結び、彼はリーディングジョッキーにもなりました。中央競馬でただ一組の親子リーディングジョッキーです。(公営では、園田の田中道夫と学の親子が達成しています)2008年9月27日、祐一騎手は、父洋一さんの通算勝利数983勝に並びました。普通の区切りの勝利ではありませんでしたが、JRAは粋な計らいで、特別にインタビューを設けました。阪神競馬場のウィナーズサークルに私も駆けつけ拍手を惜しみませんでした。本当に嬉しかったですね。立派にお父さんの後を継いだのですから。祐一騎手は、自分は8811戦目だったが、父は5086戦目で、足元にも及ばないと自覚していました。父を尊敬し、後に出身地の高知で「福永洋一記念}を立ち上げるのです。何という親孝行でしょう。
彼は実績は凄いのですが、スーパーホースとの出会いはまだありませんでした。2000勝ジョッキーには、そうした馬がいます。岡部騎手にはシンボリルドルフ、増沢騎手にはハイセイコー、武豊騎手にはディープインパクト、河内騎手にはメジロラモーヌ、蛯名騎手にはエルコンドルパサー、横山典騎手にはサクラローレルといった具合に。しかし、ついに彼の前にコントレイルが現れました。GⅠレースで1倍台の大本命で勝つという騎手としての最高の栄誉を成し遂げたのです。お父さんも成しえなかったことです。競馬史に名を遺す騎手になった祐一騎手は、今が騎手人生の絶頂期だと言えるでしょう。そして、祐一ファンにとっては、来年、コントレイルでパリロンシャンの凱旋門賞の舞台に立つことが大きな夢となります。楽しみはまだまだ続くようです。