キメラヴェリテが引っ張った流れで縦に長い列の真ん中に福永コントレイルがいました。スタートからそれをマークするルメールのアリストテレス。直線は2頭の激しい追い比べ。コントレイルは最後まで抜かせず、史上3頭目の無敗三冠馬と成りました。手に汗握る攻防は見ごたえがあり、菊花賞史上の名レースと言えるでしょう。

 

 私は最初分からなかったのですが、福永騎手の勝利インタビューで、向こう正面で掛かり気味だったと知りました。レースを見直すと、確かに福永の姿勢が丸くなって必死に抑えているのが分かりました。それをうまくコントロールできたのが勝因でしょう。父ディープインパクトの時は、1週目から口を割り、なだめるのが大変そうでした。私は、引っ掛かりながら長距離を勝ってしまう馬を初めてみました。父はスピードもそうですが、大変なスタミナの持ち主だったと思います。

 

 2着のアリストテレスは、大魚を逃がしましたが、力を見せました。母系がヴィクトリー、リンカーン、アドミラブルを出している良血です。さすがルメールという騎乗でした。父のエピファネイアは、デアリングタクトを出して一躍種牡馬として注目を浴びていますが、アリストテレスの他にも、ローズS2着のムジカやアイビーSを勝ったオーソクレースなど、まだ多くはありませんが、母父ディープインパクトとの相性は良さそうです。三冠における2着との差はクビと最少でした。これまでは、シンボリルドルフの3/4馬身でしたが、ルドルフには、余裕がありました。コントレイルは危なかったのですが、最後まで抜かさなかったのは立派です。3000mは、ちょっと長かったのでしょう。それだけに価値のある勝利でした。

 

 ノースヒルズは、牝馬三冠馬のスティルインラブに続いて、これで牡馬三冠馬も手中に入れました。金子さんの、ディープとアパパネに続く快挙です。コントレイルの菊花賞単勝支持率は69.1%で史上5位でした。1位のメイズイは83.2%で三冠確実と言われ、三冠カップまで用意されていたそうですが、他馬につられて暴走し、惨敗しました。2位はディープインパクトで79%。3位はクリフジで75%。この両馬は危なげなく勝利しています。4位はボストニアンで70.6%。春は圧倒的な勝利を重ねていたボストニアンでしたが、秋になってハクリョウが本格化し、2着となり、その座を明け渡しました。ディープとコントレイルは、どちらも高い支持率で見事に勝利するという快挙を成し遂げたのです。

 

 無敗の三冠馬から無敗の三冠馬が出る確率なんて、100年に一度あるかないかのことでしょう。しかも無敗の三冠牝馬が同じ年に出るというのも奇跡の年でしょうか。私たちはそれを目撃したのです。激戦だっただけに今後のローテーションは慎重にならざるを得ませんが、2頭が古馬に挑むビッグマッチに期待が高まります。

 

 菊花賞の後、私の頭に響いてきたのは、ユーミンの「ひこうき雲」の一節でした。 

  ”空に憧れて 空をかけてゆく あの子の命はひこうき雲”・・・・。