天皇賞は現存する重賞レースで最も歴史がある競走です。遡れば1905年(明治38年)横浜競馬場で行われたエンペラーズカップがその起源です。その後帝室御章典レースとなり、各競馬倶楽部で施行されましたが、1937年から春秋2回に統一されました。戦前の御章典は、その都度馬主に授与されていましたが、戦後は天皇盾は競馬会が預かり、馬主にはレプリカが渡されるようになり、名称も天皇賞となりました。
大きな改革は、1981年に勝ち抜け制(1度勝てばその後は出走不可)を廃止したことと、グレード制導入の1984年に秋の天皇賞を2000mにしたことです。距離短縮はかなりの議論を呼びました。有名な評論家の大川慶次郎氏は、東京の2000mは、外枠不利の欠陥コースだと反対しました。メジロマックイーンの降着などもあり、その後改修されたものの不利は変わりません。スタート後、間もなくカーブになるため、天皇賞・秋では今でも10年以上8枠は来ていません。頭数を減らすなどの処置もありません。
それでも古馬の2000mの大レースがなかったので、一応の評価とはなっています。問題は、長距離レースの取り扱いです。世界的に長距離は少なくなっているようですが、無くしていいものではありません。競走馬には個性があり、人間の陸上競技をみても幅広い種目があるように、長距離得意な馬を守ってやるべきです。そうすることにより血統も偏らない利点があるのです。距離短縮論者の言い分は、先進国がそうしているからという、曖昧なものです。
確かに最初は英国の競馬を手本として発展してきました。しかし、そこから独自の競馬を作ってきたのが日本です。文化としてその国の競馬があってよいのです。
天皇賞・春は、入場者、売り上げとも多く人気のある大レースです。競馬には興業という面もあり、十分な存在価値があると私は思っています。重賞レースにおいて、日本の競馬は1600mから2000mまでのレースが61%を占めています。GⅠに限定すると67%に上がります。それは時勢に沿ったものだと思いますが、3000m以上のレースは少なすぎないでしょうか。逆に日本、ヨーロッパ、オセアニアで長距離レースの体系を作るなどして守るべきでしょう。私たちはまだまだ長距離レースを見たいのです。