マイラーズCで特に印象に残っているレースは、1975年です。前年の年度代表馬キタノカチドキと最優秀古馬タニノチカラに幻の桜花賞馬といわれたイットーが対戦したレースです。

カチドキはここまで12戦10勝前年の二冠馬です。そしてタニノチカラは、怪物といっていい内容で5連勝中でした。二冠馬タニノムーティエの弟で、大けがで1年9か月の休養から奇跡的に立ち直り、本格化して、有馬記念でハイセイコー、タケホープを5馬身ちぎり、京都記念では、63キロを背負って大差勝ち。それも直線1ハロンから突き放してのものでした。70年代の最強馬という人もいます。

 一方、キタノカチドキは、豊かなスピードで連戦連勝。ダービーこそよれる不運で3着でしたが、菊花賞を勝ち、オープンを叩いてここに出てきました。父のテスコボーイは、マイラーでしたが、イギリスに残してきた産駒が走り、買い戻しの話が出ていたほどの期待馬でした。そしてカチドキの後も、テスコガビー、トウショウボーイと大物を出し、日本の競馬にスピードを注入しました。

 

 さて、初の顔合わせに注目は集まりましたが、東では皐月賞が行われていて、イメージ的に注目度は下がったと思われます。武邦彦騎手が皐月賞で有力馬ロングホークの手綱を取ったため、カチドキには若手の田島信騎手が代打で初騎乗しました。61キロのタニノチカラが1番人気、2番人気は52キロの快速牝馬イットー。60キロのカチドキは3番人気でした。レースは雨不良の中、ケイリュウシンゲキが飛ばし、ハイペースで進み、イットー、カチドキ、チカラの順で直線を迎えました。カチドキが瞬発力を発揮しイットーをとらえ、イツトーが粘るところにチカラが突っ込んできましたが、わずかに届かず3着。凄いレースでした。あまり注目されていませんが、私には70年代の5本の指に入るレースだったと思っています。地味だった田島信騎手は、「こんな名馬に乗せてもらって生涯の宝物でした」と、後日語っています。

 私は、ここに万能馬の時代からスピード馬の時代に変わったことを強くを感じました。血統がスピード馬の時代に入ったのです。

 

 このレースは、そのことを教えてくれました。その後グレード制が導入され、スプリント、マイラーが重要視されるようになりました。マイラーズCもややメンバーが落ちた時期もありましたが、最近はグランプリボス、イスラボニータ、ダノンプレミアムなどGⅠ馬が安田記念を目指して参加するなど充実を取り戻してきました。

 ところで、もう一つ忘れられないことがあります。1997年のマイラーズCのオースミタイクーンです。11番人気だった同馬を私は買って大儲けしました。何故か?前日にデビューした武豊の弟、武幸四郎が乗っていたので、天才ユタカの弟ならやらかしてくれるんじゃないかと買ったわけです。思わぬ幸運にありつけたのも長い間競馬をしていたからでしょうか?デビュー二日目での重賞勝利は不滅でしょう。