無観客競馬が続きます。素晴らしいレースがファンの声援なしに過ぎて行きます。

先週土曜日の阪神障害S.。絶対王者オジュウチョウサンが3か月ぶりに出走。相手

も新しい刺客シングンマイケルにトラスト。王座は守れるのか?阪神は右回りですが、

このレースのスタートはゴール地点から左回りに進みます。襷コースから右回りに変

わるのです。スタート地点から見ると不思議な感じがします。

 レースは、じっくり好位を進んだオジュウが直線鞭も使わずシングンマイケルを引き

離して独走。ファンがいればここで大歓声となったでしょう。これで障害重賞12連勝と

記録を更新しました。9馬身差のレコード勝ちです。まったく強すぎますね。9歳馬です

が、まだまだ若い者には負けないというところでしょうか。感動の勝利でした。

 

 歴代の名障害馬を思い浮かべると、フジノオー、グランドマーチス、バローネターフ

が春秋の中山大障害を4勝(バローネは5勝)しています。これにもう1頭加えるなら、

ファンドリナイロでしょうか。この馬は中山大障害は1勝ですが、全盛期のバローネタ

ーフに4馬身差で勝利しました。1977年から78年にかけて15戦11勝2着4回と充実期

でした。69キロで阪神障害Sを大差のレコードで勝っています。この馬を加えて昭和の

四天王と呼んでいいでしょう。それらの上を行くのがオジュウチョウサンで、不世出の

障害馬といえる存在になりました。一昨年、武豊騎手で有馬記念に出走し見せ場を

作ったのも伝説になっていくことでしょう。

 

 かなざわいっせい氏が亡くなりました。競馬ブックに長年連載されていた読み物に

は多くのファンがついていました。私もその一人でした。独特の「あいやぁ~どもなら

ん」とか「だけんども、しかし・・・」とかの文体は楽しめました。平成6年に発行された

「競馬の友」という本で彼を知りました。この時はまだ普通の文体でしたが、中身は

興味深いものでした。特に育成牧場に勤めておられた時に、レースから戻ってきた

馬が1週間で別馬のように緩んでしまい、見に来た調教師さえ見間違うという話に

競走馬がいかに厩舎ではストレスにさらされているのかが分かりました。だからもう

一度仕上げるには時間がかかるということです。休養明けは割引なんですね。でも

今は時代が違います。訓練設備が整った今の育成牧場はトレセン以上です。しっかり

仕上がってレースに出てきます。それだけ調教技術は進歩したのです。それが強い

日本馬を作ったのです。そんなことが分かる古い時代のことを残してくれたこの本に

感謝です。 合掌。