今日3月5日は、テンポイント忌です。といっても私が勝手にそう言っているだけ
なのですが、つまり流星の貴公子といわれたテンポイントの命日というわけです。
テンポイントは、強いだけでなく美しい馬でした。祖母が誤診により殺処分される
ところだったのです。そんな数奇な運命を背負い彼は日本一になります。
ところが、昭和53年1月の日経新春杯で66.5キロという斤量を背負って出走し、
4コーナーで骨折。大手術が行われ、一時は成功したかに見えましたが、多くの
ファンの願いもむなしく、この世を去りました。その前年の有馬記念で日本競馬
史上の最高レースといわれたトウショウボーイとの一騎打ちに勝利し、ここは、
フランス凱旋門賞への壮行レースという意味合いで出走したのでした。
雪の降った寒い日でした。何故そんな時期にあんな斤量で出走したのか?
後になってみれば、誰かが強く止めるべきではなかったか?でも、ファンの期待は
そんな声をかき消してしまいました。これ以降、歴史が変わりました。名馬に重すぎ
る斤量を背負わすのはナンセンスだという意見が主流となりました。また、テンポイ
ントの手術が馬医学の面でも大いに参考になったという話も聞きました。
私は、この日、神戸の妙光院というお寺に向かいました。関西の競馬関係者や
馬術の関係者がお参りするお寺です。テンポイントもここで供養されました。
在職中は土曜日か日曜日に命日があった時しか行けませんでしたが、リタイヤ
した今は雨でない限りお参りしています。阪急の王子公園駅で降りて、王子動物園
に沿って少し行くと、神戸文学館というレトロな館があります。そこを右折して山手へ
まっすぐに向かい、海星女子学園を右に見て、さらに進むと道は狭くなり山はまじか
に見えます。そして左手に妙光院があるのです。駅から20~30分といったところで
しょうか。このお寺には、大きな馬頭観音があります。
馬頭観音は、仏教における信仰対象である菩薩の一尊で、一般に馬の無病息災
の守り神として信仰されてきました。馬は牧草をよく咀嚼して食べることから、仏教
では馬が人間の悩みを食い尽くしてくれると言われています。こうしたことから、
やがて江戸時代頃には、家畜の供養塔として広く全国に定着していったと考えられ
ています。頭に馬の顔を載せているのが一般的ですが、様々な形があるようです。
妙光院の馬頭観音はその大きさからも全国有数の物ではないでしょうか。テン
ポイントが亡くなったころは、多くのファンも訪れていましたが、今はひっそりとして
います。馬頭観音は全国の競馬場にあります。京都、阪神、小倉は立派なものです。
東京や中京は競馬場の外にあります。私はいつも競馬場へ行くと、まずお参りします。
馬と騎手の安全をお祈りするのです。私はほとんど無宗教ですが、馬頭さんだけは、
安全祈願をしないと落ち着かないのです。競馬場の馬頭さんには多くのファンがいつ
も花をささげたりしています。日本の競馬ファンは優しいですね。
でも、何故テンポイントの碑がないのでしょう?関係者の誰も提案しなかったので
しょうか?これほど愛された馬だっただけに何か寂しい気がします。
テンポイント