この書庫、ずいぶんご無沙汰してますね。
ちょうど連休ということもありまして、まだ未読となっている本を手にとってみました。
今回読んだのは、
| 『弥勒世(上・下)』 |


舞台は’70年代初めの沖縄。ご存じの通り沖縄は1972年に日本に返還されたのですが、その直前の沖縄では、暴動が幾度となく発生し、多くの人が傷つき、命を落としました。
日本政府、アメリカ軍、そしていろんな思想を持つ人々のはざまで、ウチナンチュ(沖縄の人)は迷走する。
それぞれの間を主人公は情報を操り、人と出会い、別れ、やがては自らも銃を手にする…。
作者は馳星周。彼お得意の暗黒小説。
孤児院出身で、頭もよかった主人公。しかし同じ孤児院に同い年で、自分よりも頭のいい少年に嫉妬に似た感情を抱く。これがいつしか人を寄せ付けない雰囲気を作り出していた。
しかし、ひょんなことから同じ孤児院出身の六歳下の女性と出会い、行動を共にすることで、主人公にこれまでにない感情が芽生える。
しかし、ひょんなことから同じ孤児院出身の六歳下の女性と出会い、行動を共にすることで、主人公にこれまでにない感情が芽生える。
それが『愛』なんですね。
しかし、馳ノワールは主人公に安堵を許さない。悲劇が悲劇を重ねて、最期も読者の期待を裏切る結末で幕を閉じる。
なんともいえない虚無感につつまれる感じがする今回の馳作品。健在ですね。
沖縄の歴史を学ぶ意味でも大変意義ある作品でした。