
このヒトの書く物語の主人公は、心のどこかに“闇”を持つ男が多く、また登場人物もかなりクセのある人間が多い。
作品の舞台は無国籍地帯。東京の歌舞伎町、台北、バンコク…。その中で生きる複雑な過去を負った日本人が繰り広げる迎合と裏切り。
その中にある過激なバイオレンスと倒錯したエロティシズム。どれを読んでも、微妙なストレスとえもいわれぬ爽快さを味わえると思います。
写真の『夜光虫』。主人公はかつて神宮のヒーローから鳴り物入りでプロ入り、入団早々に栄光をつかみかけたが、肩の故障⇒引退⇒事業失敗で莫大な借金、と一気に転落したときに誘われた台湾球団。ここで主人公・加倉は八百長に手を染め、プライドと引き換えに金を得る生活にまで墮ちていった。
そんな中で一つの事件が起こる……この一つの事件から次々と繰り返される裏切り、殺戮。背徳の性愛。いやというほど人間のウラを見せる描写は、この人ならでは、といったところですかね。さらにはその展開の早さ、鮮やかさは見事!!それもあって、非常に早く読み終えましたね。
馳星周作品は、一通り買い揃え、読破してますが、舞台が野球界ということもあり、一番始めにご紹介をいたしました