
最初に
誰かが一粒の種をまいた。
植物は
少しずつ
根を伸ばし
葉を広げ
茎を伸ばす。
あるとき噂が流れた。
相当綺麗な花がに咲くらしい。
通りすがりに
色々な人が
咲く花を楽しみに
水をやり、肥料を与え、
環境を整えて
花が咲くのを待っていた。
楽しみに、喜びに。
次第に植物は育っていく。
いつしか
その側には
店が出始め
植物の成長を見るには
何かの交換をしないと
いけなくなった。
知らないうちに
御利益が謳われるようになった。
その花を見たものは
100年命が延びる。
その根を煎じて飲めば
たちどころに
病が癒える。
実は
黄金の実がなるのだ、と。
数限りない
尾鰭ハヒレがつき
いつしか
植物自身ではなく
誰も知らない何かに
人々は心奪われていた。
いつしか
それは人々に祟ると
噂され
崇め奉られた
それの周りは
誰も近付くことが
叶わなくなり
いつしか
誰もがそれを忘れた。
ある日、
人知れず花開いた。
甘やかな香をたたえ
かぎつけた子供達が集う。
広げた葉の影で休み、
太く伸びた茎によりかかったり
ぶらさがったり
甘い花をつるべ
髪や胸を飾ったり。
楽しい時間が過ぎていった。
なぜか子供達は
それの存在を
大人達には伝えなかった。
伝えてはいけないような気がした。
子供達は
大人になる時期を選びとる時
わざと
それを忘れた。
近い記憶を忘れ
遠い記憶が愛しくなると
昔子供だった大人は
甘やかな香を思い出し、
淡く微笑む。
誰も
最初の一粒を蒔いた人を
知らない。
誰かが一粒の種をまいた。
植物は
少しずつ
根を伸ばし
葉を広げ
茎を伸ばす。
あるとき噂が流れた。
相当綺麗な花がに咲くらしい。
通りすがりに
色々な人が
咲く花を楽しみに
水をやり、肥料を与え、
環境を整えて
花が咲くのを待っていた。
楽しみに、喜びに。
次第に植物は育っていく。
いつしか
その側には
店が出始め
植物の成長を見るには
何かの交換をしないと
いけなくなった。
知らないうちに
御利益が謳われるようになった。
その花を見たものは
100年命が延びる。
その根を煎じて飲めば
たちどころに
病が癒える。
実は
黄金の実がなるのだ、と。
数限りない
尾鰭ハヒレがつき
いつしか
植物自身ではなく
誰も知らない何かに
人々は心奪われていた。
いつしか
それは人々に祟ると
噂され
崇め奉られた
それの周りは
誰も近付くことが
叶わなくなり
いつしか
誰もがそれを忘れた。
ある日、
人知れず花開いた。
甘やかな香をたたえ
かぎつけた子供達が集う。
広げた葉の影で休み、
太く伸びた茎によりかかったり
ぶらさがったり
甘い花をつるべ
髪や胸を飾ったり。
楽しい時間が過ぎていった。
なぜか子供達は
それの存在を
大人達には伝えなかった。
伝えてはいけないような気がした。
子供達は
大人になる時期を選びとる時
わざと
それを忘れた。
近い記憶を忘れ
遠い記憶が愛しくなると
昔子供だった大人は
甘やかな香を思い出し、
淡く微笑む。
誰も
最初の一粒を蒔いた人を
知らない。
