数行読んだだけで「この人歪んでるな」って思わせる技術すごい。
愛能かぎり娘を愛してきたって、本当にそうしている人は他人に言わないと思う。まだ足りない、娘のためにできることは何かって(そっと見守ることも含めて)、子が大人になってからもずっと探し続ける。その姿を見て、他人が、あの人は愛能かぎり娘を愛しているって感じるのだと思う。
外から見たら普通なのに、少しずつおかしくなっていく、明確な原因はない。ただ母に愛されて、母のことが大好きだっただけ。それが娘への憎しみに変わる。
私も母とは仲が良いし、娘がいるが、全く共感できなくて、興味だけで読み進めた。
というか、登場人物全員嫌い。娘は可哀想だけど。
ほんとイヤミス。気分悪いのに、湊かなえ読んだなー!!って満足感がある不思議。
一点だけ解せないことがあった。舌噛んで死ぬってのが現実感なさすぎてチープに感じた。状況的に仕方がないし、それくらい娘と孫を愛しているからということなんだろうけど、登場人物の中では人格者の母がその死に方はできない気がする。舌噛んで死ぬっていうのはもともと狂気のある人の死に方だと思ってる。片手だけ動かせて近くの瓦礫で首を刺した、とかで良かったのに。
no+eに元受刑者の方が書かれている読書感想があって、「湊かなえっておもしろいか?」って他の受刑者と議論したという話がある。単純におもしろいわけではないのに生じた不快感が気になってしょうがないのが、湊かなえの魅力だと思う。