為替相場は、日本の企業収益に最も影響をおよぼすものの一つと言えましょう。

 

 

 

 

 

 


日本企業の多くは世界に販路を求めていますから、為替が「円安」になれば、日本企業の収益力は増すことになります。

特に現在、日本の基幹産業は自動車、ハイテクなどの輸出主導型産業が占めており、円安によるメリットは大きいと言わざるを得ません。

 

逆に円高になると 受け取る金額が目減りして企業収益は圧迫されます。したがって、為替が「円高」に振れれば、 円安で買われてきた輸出主導型企業は収益を圧迫されますから株価は下落傾向になります。

 

 


石油セクターや電力セクターなど輸入に頼っている企業は円高メリットを受けることになりますから、これらの企業が円安で見放されていても、円高トレンドに転換すれば一躍脚光を浴びることになります。

為替トレンドが反転するとこれまで上昇していた銘柄に対して利益を確定しようと動きますから、下落幅も大きくなる傾向にあります。

 

さらに需給バランスも崩れて今までより悪くなったと情緒的な面も織り込まれて、下落幅はいっそう顕著になります。

 

為替トレンドが転換したときは冷静に対応しなければならないのです。

外国人が買い越しに転じたことを好材料視して、市場に勢いが出てくることがあります。 そして、個人投資家もその波に乗って外国人買いの銘柄についていきます。

 

 

 

 

 

 


しかし、彼らの投資スタンスは短期の値幅狙いですから、それを知らずに、しばらくしてから追随すると、売りを買わされる羽目になります。 

 

市場で、「外国人が売り越しに転じた」というニュースが流れるころには、彼らはすでに売り逃げていると考えておいたほうがいいでしょう。

 

 

 


毎朝の株式ニュースでは外資系証券の寄り付きの注文状況が発表されますが、これを鵜呑みにしてはなりません。

日本の証券会社の自己売買部門(ディーラー)もそうですが、彼らは一定の株価に達すれば、材料の善し悪しに関係なく利益確定に動きます。

また、彼らはニューヨーク市場の動きにも敏感です。

たとえば、ニューヨークが急落すれば、 日本株を売って現金の比率を高めてきます。

そうなれば売り方優勢で、市場は弱気になりますから、東京市場も下落することになります。

こうしたことを知らないと逃げるべきときに逃げられなくなりますから、外国人の動向にも注目する必要があるのです。

証券会社などが行う「格付け(レーティング)」は、株価に大きな影響を与えています。

なかでも「レーティング」の影響が大きいのは、

国内なら、

・野村證券

・SMBC日興證券

・大和証券

・みずほ証券

・岡三証券

・東海東京証券

 

外資系では、

・GS(ゴールドマン・サックス)

・ J・P・モルガン

・UBS

・マッコリー証券

などなど

 

 

 

 

 


レーティングに注目しなければならないのは、対象になった銘柄と株価目標が証券会社の販売戦略に組み込まれているからです。

このレーティングが発表されますと対象になった銘柄の出来高が増加し、株価も上昇し始めることが多いようです。

 

しかし、その株価の勢いが長続きすることはあまりありません。

 

 


発表になってから買いに走っても、往々にして高値づかみになる可能性が高いと言えます。

そして、レーティングの引き上げは、証券会社の上客が売り逃げるためということさえあることも念頭に置いておく必要があります。

 

あとは、営業の際に使える話法になり得ます。

 

仮に、その銘柄を持っていれば発表後しばらくが売り場であって、新たに買うタイミングでありません。


レーティングの魔力に引きずられて、あわてて買う愚だけは避けたいものです。

 

株価のうねりを知るには、出来高の動向に注目する必要があります。株価が本格的に上がるときは、必ずといっていいほど出来高が急増します。しかし、買い手」と「売り手」が同数でなければ商い(価格)は成立はしません。

 

 

 

 

 


売り手の動機は、

「利益が出たから」

「株価が高いから『カラ売り」した」

ということが推測できます。

 

買った人の動機は、

「まだ上がると考えた」

「前から買おうと思っていた」

人気が出てきたから」

「勧められたから」

というように数多くあります。

 

 

 


しかし、売り手、買い手の動機の多少に関わらず、株価は上がるか、下がるかしかありません。

株式投資で利益を確保すると言うことは、2分の1の確率の中で、 いかに失敗をなくすかということなのです。

失敗を犯さないためにも、出来高が急増したら買いに出てはなりません。出来高が多いときは高値で買ってしまった人が処分売りしてくるため、そこが当面の天井になりやすくなります。

 

株価が引き続き上昇するためには、さらなる出来高を伴うか、日柄整理の期間が必要になりますから、日柄整理に入れば、そこが買い場になるのです。

「相場は相場に聞け」と言いますが、気配値を見ているだけで株価の動きが分かります。

たとえば、買い気配の低い株価に大量の買い指し値が常に入っていることがあります。この場合の株価は、比較的底堅い動きをすると判断できます。

 

 

 

 

 

 


逆に、株価に大量の売り指し値が入っていれば、目先の売り方が待っているわけですから、目先の天井と判断することができます。当然、ここで積極的に買いに走るのは避けなければなりません。

一方、買い気配の株数が厚みを増し、売り気配の株数が減ると、いきなり 成り行きの買いが入り売り指し値が切り崩され、株価は上昇し始めます。

 

 


ところが、上値に大量の売り物が出てくると、今度は成り行き売りが活発になり、株価は下振れを始めるのです。

このように、株式投資は「売り手」と「買い手」の思惑がぶつかり合って株価が形成されますから、まさに心理戦といえるでしょう。

したがって、理論的な考え方だけでは相場を完全に読みきることはできないのです。

株価の上下動に大きく影響するのが、「出来高」です。

株価が本格的に上昇しているときには、かならず出来高を伴います。

逆に、出来高が伴っていなければ、相場は短命に終わることが多いのです。

 

 

 

 

 


力強く上昇している銘柄は、出てきた売りを次から次へと飲み込んでしまいます。このような圧倒的な買い有利の相場では、人気が人気を呼んで途方もなく株価は上がっていくのです。

特に、

「利益の大幅増額修正」

「為替相場の急変」

強い企業との緊密な事業提携」

「レーティングの大幅引き上げ」

長期展望に即した好材料の発表」

「アクティビストの購入情報」

などが市場のコンセンサスに見合ったものであれば、株価は極めて敏感に反応することになります。

 

 

 


株価は本来、目先の材料で動きますが、その材料の衝撃度が大きければ大きいほど、 長期的な目で株価を見る必要があります。

それには月足を利用するのが適当でしょう。 

 

このようなときは目先の株価の上値は参考になりませんし、出来高もこれまでにないほどの規模に達しますから、上場来高値を参考に株価の上値を予測しなければならないのです。 

 

1日から1週間といった短期間で売買を完了させるためには、「日足」の動きに注目しながら「押し目買い」「吹き値売り」に徹しなければなりません。

 

 

 

 

 


人気化した銘柄の値動きは、短期間で一気に上げることもありますが、一般的には「押し目」 を入れながら徐々に上げていきます。

短期売買は株価の小さな振幅を巧みに利用する手法ですから、右肩上がりの相場でなくても利益を確定することが可能になるのです。

 

株式投資は「仕込み」が命ですから、仕込み時さえ誤らなければ利益確定は約束されたようなものです。

 

 


短期売買では、買おうとしている銘柄の株価がチャートのどの位置にあるかに神経を集中させなければなりません。

間違っても移動平均線から大きく上に乖離しているような銘柄をあわてて買ってはなりません。そうした銘柄は、ほぼ間違いなく押し目を形成しますし、 仮にチャート破りの上げがあっても、それは一部の仕手系銘柄だけでしょう。

 

このような銘柄は上値も下値も予測できません。

たまたま上がっても、それは結果として良かったでしかないのです。 

 

株式投資で成功率を上げるには、短期売買では移動平均線から大きくマイナス乖離している人気柄か、上昇中でも押し目を買わなければ、利益確定は望めません。

 

株式投資で、いくら調子がいいからといって、「下がったら買い」「上がったら売り」を休まず繰り返してしまうのは、あまり褒められることではありません。

 

「休むも相場」という株式市場の格言があるように、利益が確定できても、即座に次の銘柄を買うべきではないのです。

手仕舞うことができたら、そこで一度、しばらく「休み」を入れることが大切です。

 

上昇トレンドに乗って買っていたつもりの銘柄も、後で振り返ってチャートを見てみると、 実は下降トレンドに転換していて含み損を抱えてしまっていたということがよくあるのです。 

そのため、利益確定後は休みを入れて、その銘柄のトレンドが変わっていないかを見守る期間が必要になるわけです。

 

このように株式投資では、慎重に慎重を重ねることも必要なのです。

 

現物株で取引している投資家は利益を確定したら、しばらくの間、休むことができます。

しかし、信用取引を併用していると利益を確定したときが「カラ売り」の絶好のタイミングになってしまいます。

 

「タイミングがいいから」といって調子に乗っていると、知らず知らずのうちに、勘が外れてきたり、何をやってもうまくいかなくなってきたりしますから、悪循環に陥る前に、やはり休むということが必要になってくるのです。

 

しかし、休むからといって相場から目を離してはいけません。ざっくりと眺めて、冷静な気持ちを取り戻し、次なるチャンスをじっくりと狙う充電期間だと考えておいたほうがいいでしょう。

 

そうすることで、実際に投資していないときでも、さまざまな情報を入手し、冷静に判断することができるようになるのです。

 

投資する銘柄を選ぶには、まず自分の得意なセクターから10~20銘柄をピックアップして、 常に「リサーチ」をかけて情報収集しておかなければなりません。

 

そしてリサーチした銘柄から、「年初来安値」をつけたり、「セリング・クライマックス」を迎えたりしている銘柄を買うのです。

こうした理論的な投資スタンスさえ確立できていれば買うタイミングがきても不安に襲われることなく、比較的スムーズに動くことができるはずです。

 

間違えても、噂やXなどで手に入れた程度の情報を頼りにして

「今度はこれがいいかな」

「何かいいものないかな」と適当な投資をしてはいけません。

 

これでは情報が不足しているばかりか、その真偽すら疑わしいですから、的はずれな投資になってしまいます。

 

特に、底値付近で「陽線の下ヒゲ」が現れれば、買いのエネルギーが非常に強いと推測できますから「買い時」と心得てください。

 

リサーチした銘柄に「陽線の下ヒゲ」が現れたら、そこが絶好の買い場になり得るのです。

 

 

株価の動きは銘柄ごとに異なりますから、狙う銘柄にあわせた投資戦略が要求されます。 小型株なら一度の値上がりで値幅を取れる一方、大型株は上げ下げを繰り返しながら上昇するため、短期で値幅取りを狙うのは困難です。

 

大型株を長く持つのも一考ですが、「上ヒゲ」 が現れて「当面の高値」をつけたら一度売却したほうが有利でしょう。

 

銘柄の「癖」を知っておけば、将来の株価を読みとれるようになりますし、より確実な株式投資が可能になるのです。

 

「資本金の規模」で株価の動きが決まるということをまず念頭に入れて、「仕込み時」と「売り時」を検討する必要があると考えましょう。