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ご当地グルメと小さな旅

全国各地には、町おこし、活性化のために、郷土料理を発掘したソウルフードやB級グルメを開発している町が数多くあります。
そんなご当地グルメを訪ねて、街歩きの記事をアップしていきます。ご当地グルメを巡る小さな旅の記録です。

●都内随一のミャンマー人  コミュニティができたわけ 

 

 外国人がコミュニティを形成するエスニックタウンとでも呼ぶべき町が各地にあります。東京・高田馬場駅周辺は、近年「リトル・ヤンゴン」と呼ばれるほど、都内一ミャンマー料理や雑貨店が多い町です。新大久保のコリアンタウンほどのエスニックタウンぶりではんないものの、駅周辺を注意して見ると、雑居ビルの一画にミャンマーの国旗をあしらった飲食店の看板を見つけることができます。 もともと高田馬場は、予備校や進学塾を始め各種専門学校なども多く若者の多い町でしたが、80年代後半、中国、東南アジアからの留学生や研修生が増え外国人向けの日本語学校が数多く開校しました。そんななか1988年にミャンマーで軍事クーデターが発生し、ビルマ独立の父と言われたアウンサン将軍の娘であるアウンサン・スー・チーさんが自宅軟禁されるなど、軍事政権による弾圧から逃れるために国外へ脱出するミャンマー人が急増、難民認定を求めて来日する人が増えたのです。2016年3月に新政権が発足してスー・チーさんが事実上の政権トップに就いて4年目を迎えています。市川崑監督の『ビルマの竪琴』など、日本人にとっても関わりの深い、縁のある国の一つで、バガンの古代仏教遺跡群など、近年は日本人の旅行先としても人気となっています。 

 

高田馬場では最も古い 老舗ミャンマー料理店

 

  高田馬場駅のガード下を通る小滝橋通りを渡り、神田川方向に抜ける小道を下ったところの右側のビルの一画に、ミャンマー家庭料理の店・ミンガラバーがあります。現在のオーナーは、ユユさんというミャンマーから来日して23年になる優しい笑顔の女性でした。もともとユユさんのお姉さんが、日本に留学生としてやってきてときに始めた店でしたが、結婚してアメリカに移住してすることになり、ユユさんが店を引き継いだのです。もともとの店とは別にこの駅前店を開いて6年になりました。ちなみに「ミンガラバー」というのはミャンマー語で「こんにちは」の意味。  ミャンマーは、インドシナ半島の西部に位置し、旧首都のヤンゴンを中心に東はタイ、ラオス、北は中国、北西にインド、西にはバングラデシュに隣接して、国民の7割を占めるビルマ族以外に、シャン族、カレン族、モン族、アカ族、カチン族など20以上の少数民族が暮らしていて、それぞれに民族料理があるといいます。高田馬場にも、一般的なビルマ料理ではなく、出身の民族料理を出す店があるそうです。イギリスの植民地時代の影響、およびインドの影響を少なからず受けているため、カレーやミルクティーなども生活の中に浸透しているといいます。ユユさんに同店の人気メニューをいくつか紹介してもらいました。

 

 〇「ㇻペットゥ」La Pet Thop お茶葉と豆の和え物  発酵させたお茶の葉とキャベツ、ひよこ豆などをナンプラーで和え、唐辛子が入ったピり辛なので、ビールなどのおつまみにピッタリの前菜です。

 

 〇ダンバッウ Dan Bow 炊き込みご飯と鶏もも肉のスパイシー煮込み添え 鳥の煮込みと炊き込みご飯。「ミャンマーでは、若い頃に一度、仏教のお寺でお坊さんになる修行をする習慣があり、そういうお祝い事などのときには、近所の人なども招いて200人~400人分くらい用意して皆にふるまったりします」という。「大鍋で炊いたご飯に鶏肉を置き、それを何層にも重ねて、炊き込んで行きます」 しっかりと鶏の出汁が、長粒種の米と日本のコシヒカリ米をブレンドしたご飯に染みこんで美味です。いわばミャンマー版の鳥釜飯、ピラフといった感じです。鶏の身は柔らかく、身をほぐしてご飯に混ぜ込んでいただきます。

 

 〇モッヒンガ Mok Hinn Gar 魚のスープの麺(1,000円) 魚の出汁の麺。「スープの出汁はナマズです。ミャンマーは熱帯地域にあるので、海の魚は少し大味というか、パサパサしているので、ミャンマーでは大きな川も流れているので、川の魚、なかでもナマズは人気の魚です」。 アンダマン海に注ぐ大河エーヤワディー川のデルタ地帯に位置しているヤンゴンは、川魚漁も盛んな地域。 「4匹くらいのナマズを茹でたのち、小骨を取って身をすり潰してスープに溶け込ませています。スープに米とふすまを炒って、ひよこ豆と一緒にすり潰し、裏ごしたものを加えて、とろみがつくようにし、ナマズの臭みもできる限り取り除いて、日本人にも違和感なく食べてもらえるように工夫しています」。 濃厚ながら、近年日本でも人気のパクチーやナンプラーの味もほんのりと香ります。 

 

高田馬場のミャンマーの店としては、現在最も古い老舗の味は、ミャンマーの母親から受け継いだお袋の味。いまは日本人のお客が8割というほど、高田馬場で愛され、定着したといえるでしょう。

現在、コロナ禍のなか、客足は鈍くなって経営は苦しいに違いありませんが、なんとか持ちこたえてもらいたいと願っています