むなしさという大気が僕を包む
この体以外には微動だにしない空間で
スピーカー越しに透き通った声を聴いたときのような
展望台のトイレの鋼鉄の扉を流血まで殴った時のような
真夜中の防波堤で波と風の詩をずっと聞いていたときのような
鏡の中の僕を見ていて不意に誰だか解らなくなったときのような
まるで世界中の全てが一瞬止まってしまったときのような
やっと見つけた何かが想っていた程ではなかったときのような
夢であなたと誰かのくちづけを偶然見てしまったときのような
-しかしそれが過去の記憶からであるのは明かだけれど-
夢であなたから悲しい手紙を受け取ってしまったときのような
-しかしそれが過去の記憶からであるのは明かだけれど-
逢いたくてもきっかけは見つからず刻一刻と時間は過ぎて行く
By 鴉.


