④ ヤマトが生んだ六匹のうち四匹がメスと確認できた。

古い平屋の我が家には、縁の下がある。


子猫が遊んでもぐりこみ、出られなくなったら可哀想だと、長さ5mもある縁の下を、金網を張って出入り禁止にした。


ヤマトは急に環境の異変にきずき、暗くなってから、六匹の猫と引越しを始めた。一匹一匹連れ出しているようだ。


何処に引っ越したのか、子猫をどんな手段で連れ出したのか、かいもく分からず、うろうろしながら、六匹目の子猫だけが残り、


若し置き去りにされたら我が家の家猫として、飼う決心をし、子猫の家財道具?を買いに行く準備をして、もう一度、猫小屋をのぞいて見て驚いた。


子猫が居ないではないか。小屋の周りや行きそうな所を捜してみたが何処にも居ない。

育児?で神経質になっているヤマトの気持ちを察した積もりで張った金網は、逆効果だったと翌日、金網を取り外した。


そうしたら全員戻ってきた。ヤマトの利口さに舌を巻いた。


子猫たちはヒモ取り合い、土管を潜り合い、布切れを取り合い一日中遊び周り、疲れたら重なり合いながら寝ている。彼らを見ていて飽きる事がない。


月日の経つのは早いもので子猫たちも成猫になり、ヤマトとヤマトの娘四匹も妊娠・出産をして子猫だけで20匹になってしまった。

朝・夕のフードも大きなボール2個にいっぱい与えなければならず経費も大変になってきた。


子猫たちは大きくなるに従い所かまわず、排便、排尿をして、近所から苦情が出始め、我が家の庭から外に出られなくなる工夫をしたが、猫たちの方が利口でどうにもならなくなった。


良い手立ては無いものかと獣医に相談した結果、エサを与えない以外に追い払う方法はないと冷たい回答だった。


それでは責任回避で無責任過ぎないかと、自責の念に駆られ

悩んだ結局、獣医の言葉に従うことにしました。


猫たちに謝りながら、猫小屋を壊し、エサと水のボールを引き上げた。

これだけ世話に明け暮れたが、野良猫だけに一度も触ることも、抱くこともさせてもらえなかった。


ただ、不思議なことに何気なく「チビ」と声をかけたら、トラ柄の毛並み一匹だけが必ず、喜んで跳びはねるように朝・夕やって来た。


明日、最終回