「この問題には、ずぶの素人ですが」「ずぶの素人くせに、口出しするな」というように使われる「ずぶの素人」。
この「ずぶ」は、もともと頭から全身水に濡れるさまを表した言葉です
「ずぶ濡れ」という表現に、それがよく表れています。
そこから転じて、「ずぶ」は、まったく、まるっきりという意味の言葉になりました。
江戸時代には、「ずぶ」がよく使われ、「ずぶ小さい」、「ずぶ嫌い」などともいいました。
1908(明治41)年に発表された永井荷風の「あめりか物語」にも、「まだずぶ若い癖に男が好きですよ」と使われています。
その後「ずぶ」が使われる機会は減って、いまでは「ずぶの素人」と「ずぶ濡れ」くらいしか残っていません。
また、「ずぶ」は水や沼に足を突っ込んだときの音や、そうした状態を表す言葉でもありました。
「ずぶずぶ」と重ねても用いられ、泥沼に足を突っ込んだときのイメージから、濡れていて汚らしいという意味もありました
ここから「ずぶずぶの関係」とは、泥のように密着した汚らしい関係という意味になり、政官財の癒着関係などを表す言葉として用いられてきました。
「あの政治家と◯◯会社はずぶずぶの関係だ」という具合です