バスの時間までは一時間以上余裕がある。
緊急入院だったので持ち物は少ないが、レンタル品のパジャマやタオルなどを返品用のビニールに入れる。
コップや石鹸、歯ブラシなどは持ち帰って良いようだ。
テレビカードも840円残ったが、来月も外来でくるからその時精算すればいいかな?などとあっという間に退院の準備はできてしまった。
あとはカードと診察券とマイナンバーカードを用意した。カードで払うとは言え、いったいいくらになるのか知りたいものだ(笑)。
しかし、看護師さんは一向に呼びに来ない。
え? もう残り15分しかないよ? 大丈夫?
ナースコールを押して看護師さんを呼んで状況を説明した。かなりバタバタしているようで、全く状況がつかめない。
結局、違う看護師さんが車いすで1階まで連れて行ってくれた。
1階へ着くと、会計の場所へ看護師のさんがいた。
「どうなっているんですか? 俺、迷惑かけちゃいました?
俺、会計が一人で不安だというのはおかしかったですか?
ここまでやってもらって大丈夫なんですか?
今までこういうこと一度もなかったんですか?」
一度にそんな質問をしてしまった。
「病院が悪いんです。患者さんの言うことにおかしいことは全くないです」
そんなこちらのやり取りなど関係なしに、会計の人は「カードで支払いますか? コンビニ払いもできますけど?」なんて聞いてきた。
「コンビニ払いって何? コンビニ払いにしてもコンビニでカードで払えるならそれでもいいよ。速いほうで!」
その質問にすら、会計の人はすぐ答えてくれない。
看護師さんに、「何でこんなことすぐに答えられないの? 俺だけじゃないでしょ、会計いつもやってるんでしょ!」
怒るというよりも、本当に悲しくなってしまった。
結局、後で面倒にならないようにカードで支払った。約98,000円で予想よりもだいぶ安かったが、この時まで金額がわからないっておかしいよなって思った。
病院の不備と、看護師の個別対応
看護師さんにはお礼と文句も言った。
病院の不払いが問題になっている記事を読んだことがあるけど、俺も払わないで帰ろうかと思いましたよ。
看護師さんは申し訳なさそうに、「すいません。病院の体制が全部悪いんです」
「今回のこと、ありのままメッセージカードで投稿してください。バーコードからスマートフォンからでも記入できますから、お願いします」
ギリギリの脱出と、看護師との別れ
「私はわかりました。本当にありがとうございます。バスの時間まで5分しかないですね。本当に看護師さんには大変お世話になりました。二度とここに来ないことが最大のお礼になると思いますから、もう会うこともないでしょう(笑)。バス停の方向だけ教えて下さい。もう歩きますから」
そう伝えると、看護師さんは「いえいえ、バス停まで送りますよ」と。「いいですよ」のやり取りをする間もなく、バス停前までついてしまった。
バスはちょうど来たところだったが、乗る人は私を含めて二名だけ。
「本当にギリギリでしたね。ありがとうございます」私は立って深くお辞儀をした。心から感謝の気持ちを持って礼をしたのは、一体いつ以来だろうか。
会計さえ問題なければ、Googleの口コミに「評価5」は間違いなしだったのに・・・・
自宅までコミュニティバスでほぼ定刻通りに到着した。
会計でもたついたので、家族に帰る時間を連絡できず、途中の公園のベンチに座って家族に連絡した。「あと数分で帰るから玄関開けておいて」と伝えた。
家の玄関が見えるところまで来ると、家族が立っているのがわかる。心配をかけたんだな。家族の安堵の顔が、私を安心させた。
当分、貧血の怖さは残るだろうが、点滴や心電図に繋がれていた三日間を思うと、幸せな気分になった。