突然のカーチェイスから車は再び渋滞する大通りに進入した。
「越後屋さん、この辺りがお約束の場所なのですが・・・
日本でいうと シブヤ か ロッポンギ と言ったところでしょうか・・・」
ヌーデン校長は、在日経験があることを話してくれた。
車を降りて薄暗い路地を抜けると広い通りに出た。
午前0時を回っているにも拘らず、大勢の男女で賑わっている・・・
約束の店 “ CLUB GaZebo ” は、表通りにあった・・・
ビルの正面と、2階のエントランスにそれぞれ2人
セキュリティらしい男たちが張り付いている。
世間話をしているようだが、いったん事が起きると
彼らは俊敏に行動するのだろう・・・
「越後屋倶楽部ですが・・・」
入り口で名前を告げると、すぐに支配人が出迎えにきた。
ベンジャミンは、この店のオーナーである。急用で少し遅れるらしい・・・
入れ替わりにクールなウエイターが、水煙草を運んできた。
水煙草は、エジプトのレストラン以来だ・・・
店内は、相変わらず大音量のクラブミュージックが鳴り響き
客達の会話と水煙草の煙を揺らしている・・・
Dr.Syoji と同行者を紹介する。ベンジャミンはアカデミーの場所を知っていた。
「たしか、ラマ4世通りでTV-3のそばでしたね・・・」
今夜は、政府関係のVIPが急遽来店することになったらしい・・・
全員を明日のランチに誘ってくれた。
建設中の姉妹店があるので、ぜひ視察してアドバイスをして欲しいという・・・
明日の約束を交わし店の外へ出ると、ロングリムジンが止まっていた。
前後にポリスカー、さらに警備隊の大型バス・・・
ベンジャミンは、詳しい話をしなかったが超VIPなゲストなのだろう・・・
午前3時、通りはさらに混雑していた。彼らは、いつ眠るのだろう。
ヌーデン校長とMiss.Aki は、この辺りを案内をしたいらしい。
Dr.Syoji にも勧められ、もう少し歩いてみる事にしよう・・・
予約したホテルには、チェックインする事もなく初日が終わりそうだ。
「それでは、ご案内お願いいたします。」
ぎこちなく微笑んだ・・・
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