昨日の話。

仕事に一区切りをつけて、お腹に何か入れようと、会社の近くのお店で菓子パンを選んでいた時。

たしかお昼12時半頃。

保育園からスマホに電話が来ました。


「あぁ…またジョージ発熱か…」
「午後からの仕事はどうしよう」
「13時半に来客の予定があったはず…」

数秒のうちにそんな事を考え、電話に出ました。

ジョージ(1才半)の発熱連絡の時でも、いつも明るい声の先生なのに、その電話はものすごく神妙な声でした。

「お母さん、すみません、ジョージ君なんですが…大変申し訳ありません…園で遊んでいる時にケガをしまして…」

一瞬で血の気が引きました。

まず、何て言えば良いのか、何を聞けば良いのか。

聞きたいことは山ほどあるのに、言葉が出ず、スマホを力強く握りしめながら「はい…」と返事をすることしか出来ませんでした。


先生が続けてくれました。

「唇を深く切ってしまいまして、出血はだいぶ治まってきたのですが、病院で処置してもらわなければならないと思います。午後の診察が始まる14時にすぐ優先的に診てくれるとのことなので、病院へ行きます。お母さんも来て頂けますか?」

もっと長い説明で、途中で園長先生に変わったり、何度も謝罪の言葉があったと記憶していますが、大まかにはこんな感じだったと思います。


命に関わる怪我ではなかったこと、救急車で運ばれる症状ではないことが分かり、一気に力が抜けていきました。



そして、急いで仕事の片付けをして、午後の仕事は全て翌日へ回し、ジョージの保険証を取りに一旦自宅へ戻り、指定された病院へ駆け付けました。

病院に着くと、保育園の先生が1人、外で立って私を待っていてくれました。

「お母さん…申し訳ございません。」と。


中へ入ると、もう1人の先生に抱っこされて絵本を見ていたジョージと目が合いました。

「ママッ!ママーッ!」

と、いつものハスキーボイスで叫びながら私を指さしていました。


機嫌も良く元気そうだったのでホッとしましたが、口の回りに残っている血の跡が、出血量の多さを物語っていました。


口の中を確認すると、上唇の内側の一部が、べろーんと剥がれている状態でした。

素人目から見ても、縫う必要があるのは一目瞭然。

ドクターの診察で、縫わなきゃダメだと言われ、分かってはいたものの、やっぱり可哀想で…。

麻酔は局所麻酔だそうで、麻酔注射も痛いだろうし、縫うのも押さえ付けられて怖いはず。

「お母さん、縫いますよ?良いですね?」

と再度聞かれ、

「…はい…宜しくお願い致します」

と答えました。




そして、麻酔注射と縫う処置。

「お母さんは出ていた方が良いです」

と言われ、先生達と一緒に、処置室の前の椅子に座りました。

タオルでぐるぐる巻きにされ、必死に私を呼ぶジョージ。


ジョージの泣き叫ぶ声、私を呼ぶ声、やだやだー!!と精一杯の言葉で抵抗する声。

ドクターや看護師さん達の「動かないで~お口開けて~!」という声。


響き渡るジョージの声を聞きながら、無言で待つ私達。

かわいそうでかわいそうで…。
もう泣きそうな私。
手を力一杯ぎゅっ!と握って耐える。

ふと気付くと、隣に座っていた先生が涙目になっていて、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、

「ごめんね…ごめんね…がんばれ…ごめん」

と何度も何度も言っていました。


ケガをした時、その先生を含め、数名の先生がジョージのクラスにいたそうですが、防げなかったと言っていました。




うん、そうだと思います。

私だって何度もジョージにケガをさせてます。
病院に行くほどじゃなかったのは、ただ打ち所が良かっただけ。

いつもどこかしらに青タンを作っているこのヤンチャ坊主が、いつか大きなケガをするんじゃないかと、ヒヤヒヤしています。



だから、保育園のことは全く悪いと思わないし、むしろこのヤンチャ坊主を快く受け入れてくれて、とっても可愛がってくれてるだけで、日々感謝しかないのです。

真面目かつユーモアたっぷりの先生達のおかげで、私は安心して働けています。

だから、先生にはあまり気にしないでほしくて、声をかけたいのだけれど、何か発すれば私が泣いてしまいそうで。

私が泣けば、更に先生を苦しめてしまうと思い、何も言えず、ただただぎゅっ!と自分の手を握ったまま、時は過ぎました。


とても長く感じました。


 

「あー、終わったぞー!がんばった!」

というドクターの声が聞こえ、ソワソワしてもう座っていられず、処置室の目の前でジョージが出てくるのを待っていると、泣き腫らした顔で汗びっしょりのジョージが看護師さんに抱かれて戻ってきました。

そして私を見るなり、「ママァー!!」と泣き叫び、私はすぐにジョージを抱き締めました。

安心したようにペターッと私にくっつくジョージ。



傷口にばい菌が入らないように数日分の抗生剤を貰い、病院は終了でした。

今日も一度診せに行き、1週間後に抜糸です。

抜糸の時も、絶対に泣き叫ぶんだろうなぁ。



黒い糸で縫っています。腫れてる↓

ぱっと見は、腫れてるな~くらいの感じですが、内側を見ると痛々しい↓




元気にすくすく育っているのはとても嬉しいことですが、元気すぎて今後もケガが怖いです。

主人は子供の頃に2回骨折してますからね。
DNA濃そうだから、その辺も似るのでしょうか。


そして、改めて子供達を保育園に預けて働きに出る、ということについて、色々と考えさせられました。


先ほども書いたように、保育園は全く悪くなくても、ケガをするときはする。
自宅にいたって、24時間ずっと子供達を近くで見守るなんて無理なんだから。
いや、24時間見てたって、防げないケガもある。


でも、今回はこの程度のケガだったから、すぐにこう思えるのでしょう。

もし、重大なケガをした場合、簡単にはそう思えないだろうし、働くことを選んだ自分をも責めることになるのかもしれません。


子供達が、ケガなく元気に過ごした今日に、感謝です。



ちなみに、保育園で起こった事故に関しては、保育園で診察費用を負担するようです。
そして、抜糸の時も、保育園側でジョージを病院に連れていくとのこと。





病院後、姉のエマニエル(3才)のお迎えのために保育園へ戻ると、先生達が次々に

「申し訳ありませんでした」

と言って下さるその横で、

「でぇーーーーん!!」

とか言いいながら走り回り、また顔からズッコケていたジョージでした…。

やめてくれよ~もう!



帰宅しても元気いっぱいで、特に傷口を気にすることもなく、いつも通り大食いのジョージ。

子供って強いなぁ。