ジョン・ファルスタッフ:レナート・ブルゾン(バリトン)
フォード:森口賢二(バリトン)
フェントン:櫻田亮(テノール)
医師カイウス:大野光彦(テノール)
フォード夫人アリーチェ:トモコ・ヴィヴィアーニ(ソプラノ)
ナンネッタ:天羽明惠(ソプラノ)
クイックリー夫人:牧野真由美(メゾ・ソプラノ)
ページ夫人メグ:鳥木弥生(メゾ・ソプラノ)
バルドルフォ:小山陽二郎(テノール)
ピストーラ:小野和彦(バス)
指揮:マルコ・ボエーミ 演出:レナート・ブルゾン
管弦楽:国立音楽大学オーケストラ
合唱:国立音楽大学合唱団
「ファルスタッフ」が“ヴェルディの最高傑作”と書かれていることがあるが、これはどうかと思う。でもある意味、これは最高傑作かも知れない。
ヴェルディ歌手のような声が求められるのはファルスタッフとフォードくらいで、ヴェルディにしては珍しいオペラブッフォ。しかもアンサンブルオペラ。遊び心がいっぱいに散りばめられた大好きな作品だ。
グスタフ・クーンやマルコ・ボエーミとともにホールアカデミーを育ててきたのはレナート・ブルゾンで、サントリーホールオペラにおいてヴェルディシリーズを上演してきた際も毎年、ブルゾンが中心的存在だった。
今回はタイトルロール役も演出もレナート・ブルゾン。
ホールオペラ形式でオケをバックに出演者は本格的な衣装をまとっている。
ブルゾンは70歳近いであろう。なので全盛期の声はないものの好色な鼻つまみものだけどどこか憎めないファルスタッフを余裕しゃくしゃくで演じていた。
感心したのはフォードの森口賢二さん。端正な歌声とブッフォの歌声を巧く使い分けていた。ブルゾンに取って変るような素晴らしい“ヴェルディバリトン”だった。
ナンネッタとフェントンには真のリリックな声が求められる。
日本人でこの役がやるなら最高に適役と思える二人、櫻田亮さんと天羽明恵さんがこの役を歌ってくれた。
櫻田さんは新国立劇場「ドン・ジョバンニ」でドン・オッターヴィオを瑞々しい声で歌ってそれ以来、注目していた方だが今回もその瑞々しいリリックテノールを披露してくれた。
天羽明恵さんのナンネッタも櫻田さん演じるフェントンとの掛け合いの伸びやかなロングトーンが最高。まさに理想のカップルだ。
クイックリー夫人の牧野真由美さんは滑稽な演技で場内を沸かせていた。
ページ夫人メグの鳥木弥生さんも文句ない出来。ラ・ヴォーチェの「ノルマ」でもお声はお聴きしているはずですが、本格的にお聴きするのは初めてだったかも?
このオペラは完全なるアンサンブルオペラで声の対比が面白さでもあるわけだが、アリーチェはもっと中音域が充実しているソプラノを選ぶべきであったであろう。
急病になったエヴァ・メイの代役でサントリーホールオペラ「ラ・ボエーム」のミミを歌った時はなかなか良かったんですが、今回のアリーチェに関しては必ずしも適役ではなかったように思う。
管弦楽の国立音楽大学オーケストラ、合唱の国立音楽大学合唱団ともに若さが溢れ、良い演奏会になった。