演出:宮本亜門
指揮:ディヴィッド・チャールズ・アベル
キャンディード:中川晃教
クネゴンデ:幸田浩子
バンクロス:岡幸二郎
オールドレディ:郡愛子
バゲット:宮本裕子
マキシミリアン:新納慎也
カカンボ:坂元健児
「劇団四季」にせよ、「東宝ミュージカル」にせよ“ミュージカル”のオケやアンサンブルを聴くと、正直、オペラを聴きなれた耳にはとても満足のいかない演奏の質であることが少なくない。ところが有名なキャンディード序曲から全くそういった不安がない。アンサンブルもそう。音楽性の高い十分に満足できる演奏で下手なオペラよりずっと音楽性の高いものであると思う。主要なキャストに二期会や藤原歌劇団所属歌手がいることは知っていたが、終演後プログラムを購入しこれを眺めるとアンサンブルも有名音大の声楽科卒の人材がほとんどを占め質の高い演奏の理由もよくわかった。なるほど青年キャンディードと彼を取り巻く登場人物が世界をまたにかけた波乱万丈の物語を当初、どう舞台化するのだろうかと興味津々だった。
中央に円形の舞台がありこれを囲む2層の円状の高台があるシンプルな舞台で他に大掛かりな装置らしきものなくシンプルだったが、ちっとも陳腐な印象を受けない。テンポは極めてよく、バーンスタインの名曲によく乗っている。
宮本亜門が演出の時代の寵児といわれる意味がわかる気がした。バースタインの名作に生命を確実に吹き込んでいる。
キャンディード役の中川晃教は、同じく宮本亜門演出「キャンディード」初演版でタイトルロール役だった石井一孝より、役柄の実年齢に近くかつ自然児っぽくてこの役にあっているのではないだろうか?(実際、石井のキャンディードを観た事はないが彼が「レ・ミゼ」の学生マリウス役を演じた時はずいぶん歳のとった学生のように見えた)歌唱力もあり、また観客を惹きつける魅力が彼にはある。
クネゴンデ役の幸田浩子さんはウィーン・コミッシェオーパーの専属歌手として主役級の役柄を演じてきた国際派のオペラ歌手である。彼女がミュージカルにキャスティングされていることにまず驚いた。(今回のキャンディードも実のところ彼女のクネゴンデを目当てに行った)この役柄を歌いきるには相当、高度なコロラトゥーラの技巧が要求される。層の厚いブロードウェイの役者なら(※ニューヨーク・シティ・オペラ出身などという人もいたりするので)いざしらず、日本国内のミュージカル俳優にとってこの役はかなり高いハードルのはずである。彼女の可憐な容姿もこの役柄にはぴったりだった。
劇中最も高度な技術が必要とされるアリア「着飾ってきらびやかに」も見事な演技とともに正確な音程で歌いきった。これがオペラの舞台ならブラボーの嵐でショーストップになるだろう。そこはミュージカルの観客、至っておとなしく拍手をするのみ。
ポップス・ロック系の中川キャンディードとオペラ歌手幸田クネゴンデの2重唱は声質が上手く溶け合うか心配でもあったが、発声法は違うにせよ。お互い歩みよりそれほど違和感を感じない。
オールドレディにはオペラ界の重鎮、郡愛子さん(Ms)がキャスティングされていたがオペラ歌手のわりにはいま一つ音程がよくないのである。クリスタ・ルートヴィッヒの余裕しゃくしゃくのオールド・レディで予習していった者にとってはちょっときつい。でも演技力はなかなかで存在感は十分。
哲学者にして家庭教師でもあるバングロス役の岡幸二郎、後半キャンディードとともに旅をするカカンボ役坂元健児、召使いバケット役宮本裕子なども好演。久しぶりに大満足の日本におけるミュージカル体験であった。
指揮:ディヴィッド・チャールズ・アベル
キャンディード:中川晃教
クネゴンデ:幸田浩子
バンクロス:岡幸二郎
オールドレディ:郡愛子
バゲット:宮本裕子
マキシミリアン:新納慎也
カカンボ:坂元健児
「劇団四季」にせよ、「東宝ミュージカル」にせよ“ミュージカル”のオケやアンサンブルを聴くと、正直、オペラを聴きなれた耳にはとても満足のいかない演奏の質であることが少なくない。ところが有名なキャンディード序曲から全くそういった不安がない。アンサンブルもそう。音楽性の高い十分に満足できる演奏で下手なオペラよりずっと音楽性の高いものであると思う。主要なキャストに二期会や藤原歌劇団所属歌手がいることは知っていたが、終演後プログラムを購入しこれを眺めるとアンサンブルも有名音大の声楽科卒の人材がほとんどを占め質の高い演奏の理由もよくわかった。なるほど青年キャンディードと彼を取り巻く登場人物が世界をまたにかけた波乱万丈の物語を当初、どう舞台化するのだろうかと興味津々だった。
中央に円形の舞台がありこれを囲む2層の円状の高台があるシンプルな舞台で他に大掛かりな装置らしきものなくシンプルだったが、ちっとも陳腐な印象を受けない。テンポは極めてよく、バーンスタインの名曲によく乗っている。
宮本亜門が演出の時代の寵児といわれる意味がわかる気がした。バースタインの名作に生命を確実に吹き込んでいる。
キャンディード役の中川晃教は、同じく宮本亜門演出「キャンディード」初演版でタイトルロール役だった石井一孝より、役柄の実年齢に近くかつ自然児っぽくてこの役にあっているのではないだろうか?(実際、石井のキャンディードを観た事はないが彼が「レ・ミゼ」の学生マリウス役を演じた時はずいぶん歳のとった学生のように見えた)歌唱力もあり、また観客を惹きつける魅力が彼にはある。
クネゴンデ役の幸田浩子さんはウィーン・コミッシェオーパーの専属歌手として主役級の役柄を演じてきた国際派のオペラ歌手である。彼女がミュージカルにキャスティングされていることにまず驚いた。(今回のキャンディードも実のところ彼女のクネゴンデを目当てに行った)この役柄を歌いきるには相当、高度なコロラトゥーラの技巧が要求される。層の厚いブロードウェイの役者なら(※ニューヨーク・シティ・オペラ出身などという人もいたりするので)いざしらず、日本国内のミュージカル俳優にとってこの役はかなり高いハードルのはずである。彼女の可憐な容姿もこの役柄にはぴったりだった。
劇中最も高度な技術が必要とされるアリア「着飾ってきらびやかに」も見事な演技とともに正確な音程で歌いきった。これがオペラの舞台ならブラボーの嵐でショーストップになるだろう。そこはミュージカルの観客、至っておとなしく拍手をするのみ。
ポップス・ロック系の中川キャンディードとオペラ歌手幸田クネゴンデの2重唱は声質が上手く溶け合うか心配でもあったが、発声法は違うにせよ。お互い歩みよりそれほど違和感を感じない。
オールドレディにはオペラ界の重鎮、郡愛子さん(Ms)がキャスティングされていたがオペラ歌手のわりにはいま一つ音程がよくないのである。クリスタ・ルートヴィッヒの余裕しゃくしゃくのオールド・レディで予習していった者にとってはちょっときつい。でも演技力はなかなかで存在感は十分。
哲学者にして家庭教師でもあるバングロス役の岡幸二郎、後半キャンディードとともに旅をするカカンボ役坂元健児、召使いバケット役宮本裕子なども好演。久しぶりに大満足の日本におけるミュージカル体験であった。