昨年(2005年)12月16日~23日までNYへ旅行へ行っておりました♪
NYはマンハッタンのセントラルパークの北西に面しているリンカーンセンター内にある世界最大規模のオペラ劇場☆メトロポリタン歌劇場☆
16日(木)プッチーニ「ラ・ボエーム」
17日(金)トビアス・ピッカー「アメリカの悲劇」世界初演
18日(土)マチネ ヴェルディ「リゴレット」
ソワレ ビゼー「カルメン」
20日(月)ヨハン・シュトラウス2世「こうもり」
21日(火)ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」
クリスマス直前のNYの街はどこもかしこもクリスマスツリーとクリスマスの装飾で彩られている。
昨年末の訪問で3回目のマンハッタンとなった。
成田空港に着いて手続きをしようとしていると。
行きのコンチネンタル航空が「機材の搬入のため、2時間程度出発が遅れます」との張り紙が
到着予定時刻がニューヨーク16日の17時だったのでこの日の20時開演の「ラ・ボエーム」のチケットを取ったのに・・・大きな誤算!
出発は結局、日本時間の20時近くになり、NYのニューアーク空港への到着も16日の8時半になる。それからホテルに移動、メトロポリタン歌劇場(以下MET)に着いた時は第3幕のおしまいで劇場内には入れてもらえなかった。
フランコ・ゼッフェレッリの演出でMETでも有名な豪華なプロダクションのはずだったのに・・・。
話を戻すと新潟出発の時点で今回のNY旅行は危うかった。
旅行の費用をケチろうと新幹線は使わず、東京までの行き、帰りは「高速バス」を使うという予定だった。
12月にしては珍しい突如の大雪になってしまい、交通麻痺で定刻には到底着けないとのこと。急遽、乗り場から引き返し長岡駅へと向かった。
今回、最も出来が素晴らしかったのはメトで世界初演となった「アメリカの悲劇」!!
オペラ「アメリカの悲劇」(AN AMERICAN TRAGEDY)は14歳から作曲活動を始めた(!)というTobias Picker の作品で指揮のジェームズ・コンロンの手により圧倒的な成功を納めました。
カーテンコールの最後に現れたこの作曲家にブラボーの嵐。
(どんな作曲法を使っているとか専門的なことはちーーーっともわかりませんが、保守的なNYの聴衆にも受け入れられそうなちょうど良い塩梅のアヴァンギャルドさ!ぴかチュウままさんが歌ったらとーーーっても良さそうな、いかにも現代音楽のコロラトゥーラソプラノの役もありました。)
作品の内容は英語力の自信がないのを恐れないで書いちゃうと…
主人公クライド・グリフィン(Nathan Gunn:Br)の少年時代の回想から物語は始まる。少年時代のクライド(ボーイソプラノ)が讃美歌を歌い、その傍らにはその母エルヴィーラ(ドローラ・ツァージック)が付き添っている。
クライドはNYで実業家として成功している叔父を頼り、貧困から抜け出そうという野望を持ったプレイボーイに成長している。
恋人ロベルタ(Patricia Racette:S)のお腹に子供ができ結婚を迫られた彼は一方で上流社会の女性サンドラ(出演予定だったスーザン・グラハムが病気の為、カヴァーのKirsten Chavez が出演)にも惹かれていく。
ロベルタを殺そうと計画したクライドはと二人で湖でボートに乗り、ロベルタが転落させ溺死させる。
舞台は法廷に移り、クライドが故意に彼女を水死に追いやったのではないかというのが争点になり、結果的に彼は有罪に・・・。
少年時代の自身に手を引かれ、電気椅子に座ったところで舞台は幕でした。
これは実際の話を小説にしたものでかつては映画化もされたことがあるとか…。
アメリカンドリームを夢見た主人公がさらなる夢を追った末、愛人殺しの罪で破滅に追い込まれる。
この「アメリカの悲劇」は資本主義社会そのものという訳です。
このプロダクションは主人公の叔父の妻がジェニファー・ラーモアなど脇役陣も豪華で、中でも最後まで息子の無実を信じた母役のドローラ・ザージックが「イェヌーファ」の“教会のおばさん”を彷彿とさせる存在感でした。
メインキャストでは恋人ロベルタ役のPatricia Racetteが悲劇のヒロインを切なく歌い上げ、歌、演技とも出色の出来!彼女のppの美しく切ないこと…。
主人公クライド役のGunnはちょっと見、俳優のアントニオ・バンデラス似の伊達男でベッドシーンでは上半身裸になるんですが実に見事に鍛えた身体でしたね。
「リゴレット」はオットー・シェンクの写実的なプロダクション。リゴレット:カルロ・グエルフィ、ジルダ:アンナ・ネトレプコ、マントヴァ公爵:ロランド・ヴィラゾン。
これは異常な人気でチケットも完売だった。
ネトレプコは声質が野太く、アリア「慕わしき人の名は」でコロラトゥーラそのものに切れがない。ザルツブルク音楽祭の「椿姫」のヴィオレッタで最高音をオクターブ下げて歌っていたので嫌な予感はしていたが、案の定高音は下げて歌っていた。
ただネトレプコは美しく、演技も上手い。ヴェルディらしいドラマチックな声が要求される場面(スパラフチーレの宿の場面など)では素晴らしい4重唱を披露してくれた。
マントヴァ侯爵のヴィラゾンはネトレプコ同様大人気だが、今ひとつこの人の良さというものがわからない。
カルロ・グエルフィのリゴレットは可もなく、不可もなくといった感じか・・・。
「カルメン」は妖艶なデニス・グレイブス。
プロダクションはフランコ・ゼッフェレッリで4年前にも同じプロダクションを観ているが岩場の岩の質感など本物と見まごうばかりである。
指揮はフィリップ・ジョーダン。
ただ演奏者はドン・ホセは大味だし、エスカミーリョに至っては音程が悪く聴けたものではない。ミカエラも好みではなかった。
「こうもり」は年末のクリスマスにいかにもぴったりな雰囲気で楽しめた♪
アイゼンシュタインはボー・スコウフス。
軽めのバリトンなのでテノールが歌うことが多いこの役も歌えるらしい。
以前、METでドミンゴとフレデリカ・フォン・シュターデの「メリー・ウィドウ」を観た時もそうだったが、普段は観劇の際アルコールは口にしないのであるが、シャンパンが飲みたくなってこれを買ってしまった。一杯16$也。
帰ってきてウィーン国立歌劇場の「こうもり」のDVDを買ったがこれが全く同じオットー・シェンクのプロダクションだった!!
「ランメルモールのルチア」はまた美しいプロダクション。
プロダクションはニコラス・ジョエル。
ルチア役のエリザベス・フトラルは「ルチアを歌うにしてはずいぶん声が重いなぁ~」と思って聴いていた。
やっぱり起こってしまった・・・。
一番の聴かせどころ「狂乱の場」でコロラトゥーラが上手く回らず、音もかなり下げて本来のスコアをかなりアレンジして歌っている。でもこれに「やんや、やんや」の歓声を挙げるNYの聴衆の耳を疑う。
エドガルドのラモン・ヴァルガスは持ち前の美声で最高のパフォーマンスを見せてくれたので、ルチアの“???”もちょっと許せた。