実家から古い日本人形を運んできました。
マンションの和室に、1体の日本人形が加わっただけで、和の雰囲気がとても濃くなりました。
どうも、父の養父の義兄(?)が人形師だったようで(母のかなりアバウトな記憶によると???)、私の実家の私の部屋には、父の・・・の・・・が作ったと語りつがれている古い人形たちが3体と、誰の作かはわからないけれど、とにかく古い人形が幾体かあります。
人形師であった父の・・・の・・・の名前は、母のおぼろげな記憶によると、サキチ だの サヘイ だの タヘイ だの ヨヘイだの・・・、一向に定まりません。聞く度に新しい名前を創る母の創造力にも感心します。だから、作られた時代すら定かではありません。
・・・何故、これらの人形達が私の部屋にあるのかというと、2年前に、私の実家が台風の影響で床上浸水した際に、人形が水没しないようにと、2Fの私の部屋に引きあげられて以来、何故かずっと、居心地よさそうにずっと私の部屋に居座っているのです。
ただ、2Fの私の部屋は、甥っ子や、母の友人や、親族の客間として使いたいそうなので、とにかく私の私物(勉強机とか、子供の頃のわずかな図画作品とか・・・たいしたものは無いのですが・・・)は全て今のマンションに移すか、処分して欲しいと、母から厳しいお達しがありましたので、まずは、人形から少しずつ、お引越しです。
こちらのお人形、
このように、
とても美しい顔をしております。柔らかな微笑を浮かべていて、夜になると動きだしそうです。
実は私、古い人形達は夜になると、こっそりと動きまわるものだと信じていて、子供のころは、夜中にそっと布団を抜け出して、座敷の人形達を、ふすまを少しだけ空けて、こっそりと覗いていたことがあります。・・・もちろん、ピクリともしませんでしたけれど。
ところが、その母ときたら、私が真っ先にこの人形を運びだそうとすると、“その人形だけは、置いていってくれないか。他の人形から先に持って行ってくれないだろうか”なんて、ちょっと悲しそうな顔をするんです。
“もう、実家は古いから、今度はいつ水没するか、地震でくずれるかわからないから、多分マンションの方が管理状態がいいと思うよ”と言うと、渋々許してくれました。ただ、普段は元気な母が、結構勢いよくモノを捨てたり、先祖の私物をポンポンと人様に配っていた母が、何故、この人形との別れをためらうのかとても不思議でした。
“マンションの和室にきれいに飾るから見に来てよ!” と言うと、“その人形が一番古いものだから大事にしてね。”と言ってはくれましたが、はやり、ちょっと淋しそうでした。
遠い昔、母がよく、きれいな着物をまとった人形の絵を描いてくれたのを覚えています。母自身は、結構男勝りだし、全くおしゃれにも興味を示さなかったのに、母の描く人形達は、とても美しい顔立ちで、きれいな着物をまとっていたというおぼろげな記憶がよみがえってきました。


