THEY LIVE WE SLEEP

(彼らは生き、われわれは眠る)

ジョン・カーペンター監督による示唆に富んだSFアクションホラー映画『ゼイリブ』をレビュー!


ゼイリブ

原題:They Live

ジャンル:SF/ホラー/アクション/コメディ

制作:アメリカ(1988年)

監督:ジョン・カーペンター

キャスト:ロディ・パイパー、キース・デイヴィッド、メグ・フォスター、and more…


ざっくりあらすじ

世は世紀末(違)、貧富の差が激しく失業者が増える一方のそんな時代、仕事を求めてとある町に流れ着いた流れ者のナダ(ロディ・ハイパー)は、建築現場で知り合ったフランクに誘われ、自由教会が所有する空き地の貧民キャンプで衣食を得るようになったのだったが、キャンプにあるTVは電波ジャックされ、謎の陰謀論めいた発言を繰り返していた。ひょんな時にひょんなことから讃美歌が聞こえる教会に侵入してみると、何やら謎のサングラスを発見!そのサングラスをかけると、なんと広告や看板などが、『考えるな』、『従え』、『消費しろ』などといった文字例が見え、地球侵略を企む異星人の姿までもが見えるのであった…


ゼイリブの感想/レビュー/考察

『ハッピー・デス・デイ』のカートの部屋にゼイリブのポスター貼ってあったから久々に観たんですけれども。


当映画『ゼイリブ』は、前提としてレイ・ネルソンの『朝の八時』というものが原作としてあるらしい。読んだことないけど。

そしてサングラスをかけた状態での看板や広告に書いている文字例は、まるでジョージ・オーウェルの『1984年』みたいだなって思う。(映画化もされています。)

厳密には1984年は、全体主義国家によって統治されたディストピアの恐怖を描いているので、本作における資本主義、物質主義に対するアンチテーゼとはテーマが異なってくるのだけれども、上流階級が甘い汁を啜るという意味や、洗脳という意味では同じかな。

更に明らかにロボチックな地球外生命隊の侵略というテーマが、ターミネーターは勿論、ゲームの『デトロイト ビカム ヒューマン』を思わせる。

更に陰謀論、DSがあーだこーだという芳ばしい匂いも漂う。(監督のジョン・カーペンター自身は、資本主義のこの世界に満足し享受しているが、ただ批判がなさすぎるのは良くない。ゼイリブはヤッピーと資本主義の暴走を描いたもので、世界を支配するユダヤ人を描いたモノではない。と陰謀論に対してはキッパリと否定している)


まずナダさん、その広背筋と僧帽筋をオレにくれい!



羨ましいガタイである。肩に小さいジープ乗ってるよ。

そしてこの男、頑丈すぎである。


そんなことはさて置きこの映画はそのユニークな発想による資本主義社会に対するアンチテーゼも面白いのだけれど、SFホラーの顔したコメディ映画(しかもB級)なので、基本的にブラックと言うより、普通に笑えます。流石のジョン・カーペンター。B級映画の鬼才である。


何が一番面白いって、ナダを貧民キャンプに誘ったのがそもそもフランクなんですけど、フランクさん、見えてはいけないものが見えてしまうサングラスをかけることをナダに強要されて、頑なに拒んだ結果、殴り合いの喧嘩が勃発するんですね。何をしとんねん。って感じなんですけど。



その喧嘩シーンが無茶苦茶長い!大男二人によるボクシング×プロレスみたいな喧嘩なんだけれども、いつまでやんねんと。そう思ってもまだ続けるの。

もうね、私はずっと笑ってましたね。爆笑してました。

一番の見どころはそこです!(えぇ…)

ナダは主人公補正かかりすぎだし、そこももう笑ってみているしかない。そんな映画なんです。


ゼイリブの総評

メッセージ性は確実にあるんですが、劇中にもジョークとして出てくるジョージ・A・ロメロのゾンビ映画と同じ感じでのメッセージ性かと思われます。

基本的にSFホラーの顔した何も怖くもぐろくもない、アクションコメディなので、笑って観れます。というか笑って観ましょう。陰謀論好きな方にもおすすめ。ということで…


星4つ!