先ず、Alcest(アルセスト)とは、2000年にフランスで結成されたブラックメタルプロジェクトである。


Alcest

アルセスト


ブラックメタルとは言っても、ブラックメタルは一つの要素程度であり、シューゲイザーやポストロックの要素と組み合わせることで、ブラックゲイズと呼ばれるスタイル/ジャンルで活動している。

Alcestの中心人物、Neigeが幼少期から夢見てきた『Fairy Land』という空想世界への憧憬が基本コンセプトとなっている。


Alcestの現メンバー

  • Neige(ネージュ) - ボーカル、ギター、ベース、キーボード
  • Winterhalter(ヴィンターハルター) - ドラムス


ブラックゲイズプロジェクト、Alcestのニューアルバム『Les Chants de l'Aurore』を超速レビュー!


Alcest - Les Chants de l'Aurore

アルセスト - …ಠ_ಠ??


なんて読むんじゃい!!


って思ったそこのアナタ、フランス語で『レ・シャン・ドゥ・ローロール』らしいです。L'Arc〜en〜Cielみたいなことです(違)

英語で『The Songs of Dawn』、日本語で『夜明けの歌』みたいです。(DeepL翻訳先生に聞いた結果。)

オレがフランス語できるわけないだろ。いい加減にしてもらえますか?日本語すら怪しいのに←

ほんでちょっと前までAlcestの読みはアルセやなかった?知らんけど。


トラックリスト

  1. Komorebi(木漏れ日)
  2. L'Envol(ランヴォル/飛翔※多分)
  3. Améthyste(アメジスト)
  4. Flamme Jumelle(フラム・ジュメル/ツイン・フレーム)
  5. Réminiscence(レミニセンス/追想)
  6. L'Enfant de la Lune(ランファン・ダ・ラ・リュヌ/月の子(ムーンチャイルド))
  7. L'Adieu(ラデュー/別れ)
日本語訳は勝手にしているものです。

こうやって曲タイトルだけ見てみると、スタンリー・キューブリックの映画かアーサー・C・クラークによる映画の脚本と同時進行で書かれた小説『2001年宇宙の旅』を思わせるんですけど、どうなんでしょうか。知らんですかそうですか。

Les Chants de l'Auroreを聴いてみた感想

1.Komorebi。

アルバムタイトルであるLes Chants de l'Aurore(夜明けの歌)を想起させる雰囲気のイントロから幕を開ける。(『2001年宇宙の旅』で言えば、リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」(ニーチェ))

優しいボーカルのポストロックな雰囲気だなぁと思ってたら、ドラムのスタタタスタタ!で、やはりブラックメタルというより、まさしくブラックゲイズである。と言っても曲調が比較的明るいので、ブラックと言うならシューゲイザーか。タイトルの通り、木漏れ日を感じさせる比較的優しい楽曲。人類が初めて木漏れ日に立ち、朝日を仰ぎ見たような。


2. L'Envol

こちらは一転して明らかにブラックゲイズの雰囲気漂うイントロからスタート。かと思ったら物凄く心地の良いリズミカルなドラムに乗るギターリフとアルペジオ。そして浮遊感のあるボーカル。


後半一変してNeigeの怒涛のシャウトが入ってきて暴力的な展開を聴かせるのだけれど、それにしても美しい曲である。余韻まで美しい。8分くらいある長い曲だけれど、是非一度聴いてみてもらいたいです。

MVでは人類が白鳥(?)になって飛翔しているけれど、やっぱこれ、明らかに『2001年宇宙の旅』を意識してないかな?って凄く思う。


3. Améthyste。

今度こそプリミティブなブラックメタル臭漂いまくるギターのトレモロリフで始まる。浮遊感のある歌が入ってからはジューゲイザーやポストロックだけれど。

フランスのプロジェクトだけれど、伝統的な北欧スタイルに影響を受けたトラディショナルなメロディも聴ける。



そして、やはりNeige氏のどこか悲しさすら感じさせるシャウトである。この声が彼らをブラックゲイズにしている一番の要因だと思う。とは言え、枠に収まるものでもなく、AlcestはAlcestであり、明らかな独自性を築いている。後半の怒涛のドラマティックな展開も素晴らしい。AlcestもドラムのWinterhalter氏がとてもいい仕事をしている。


4. Flamme Jumelle。


アルバムの中ではどちらかと言うとアコースティックな(アコースティックではないけど)、ポストロックに寄った浮遊感漂う優しい楽曲。(比較的という話。)


Flamme Jumelle、フランベルジュ(武器)じゃないよ?双子の炎、つまりツイン・フレームと言う意味だけれど、ツイン・フレームというのはスピリチュアル用語としては、同じ魂の目的を待つ存在のことで、前世では同じ魂を共有していた存在と言われております。最大7人いるらしいです。同じ目的を成就させるために強い団結力を持っているらしい。ソウルメイトの上位互換のような存在です。

更に上位互換というか、ツイン・フレームが同性異性に拘らず最大7人居るのに対して、この世に一人の異性しか居ないツインレイというものが存在していると言われています。出逢った瞬間ビビっと衝撃が迸るほどの強い結びつきを感じるらしいです。

ソウルメイト、ツインフレーム、ツインレイの特徴について

とかやらないから、もっと知りたい!今直ぐ気になる!って“オレのような”乙女なそこのアナタははググってください。


なんでそんなもん知ってんねんて、スピリチュアルにも関心のあるオッサンやし、運命的なもんに憧れがあるロマンティストやからやけどなんか問題あんのか?お?しばくぞ。(しばかれろ。)


6. L'Enfant de la Lune

なんか、日本語でブツブツ言うております。多分こんなことを言ってます。


“今宵、星たちは踊る。希望を蘇らせるために。星たちは踊り、ため息をつく。波の刻むリズムに合わせて。そして私たちを見守る穏やかな月が、浜辺の上に乗り、埋もれる黒い水の中へ、再び落ちて行く。私たちの魂の奥底へ、流れ込んでいく”


少し聴き取り難い部分があったので(特に埋もれるのところ、産まれるかもしれない。)、違っているかもしれません。

そしてその語りからの怒涛のブラックゲイズ展開。というかこれ、もしかしてNeige氏も日本語で歌ってる?


気のせいかな?

日本語どうこうは置いておいて、アルバム中、多分一番ブラックゲイズな感じがして好きな曲。


Les Chants de l'Auroreの総評

Alcestは初期の2枚が名盤と謳われており、実際名盤だと思うのだけれど、本作もAlcestらしさ全開であり、相変わらず読書用としても聴けるくらいには聴きやすく、更にコンセプチュアルでとても素晴らしい。

ブラックメタルとかそんな禍々しいのヤダ、怖い、苦手って人も余裕で聴けると思います。


個人的にオススメの曲

2. L'Envol、3. Améthyste、6. L'Enfant de la Lune