何故だか、何故だかは分からないが久々に観ましたということで。


 映画『ジェイコブス・ラダー』の感想/レビュー!


ジェイコブス・ラダー

(原題:Jacob's Ladder)


制作年:1990年(アメリカ)

ジャンル:ホラー/サスペンス/ミステリー


そもそもジェイコブス・ラダーって何ぞい?どういう意味ぞい?


ジェイコブス・ラダーってのは、日本語訳すると、ヤコブの階段とか梯子という意味で、これは旧約聖書の創世記、28章で出てくる聖書中のお話です。

詳しくは聖書なりに譲りますが、ある時、ひょんなことからヤコブが石を枕にして寝ていたら、空から梯子が現れて、その梯子を登ったり降りたりしている天使を見た。

これをヤコブの梯子と言い、通称天使の梯子などとも言い、要は天国への階段ってことですね。


天国への階段?


Led Zeppelin - Stairway To Heaven(天国への階段)


これがやりたかっただけ!

しかし良い曲だなぁ…ロック史に置いてもトップクラスの名曲。


はい。つまり、大前提、この映画におけるジェイコブス・ラダーとは、天国への階段と言う意味である!(知らんけど!)


ジェイコブス・ラダーのざっくりすぎるあらすじ

ジェイコブ(ティム・ロビンス)が地下鉄の車輌内で眠っていたら、ベトナム戦争時代の体験を悪夢として見ていて。ふと悪夢から目覚めたら、まるで悪夢のような世界だったのです…手にはStranger…※アルベール・カミュの小説『異邦人』(そしてざっくりしすぎ)


個人的独断による感想及び解説(ネタバレ含む)

ゲーム『サイレント・ヒル』に多大な影響を与えてある程度には、要所要所で気色の悪いホラー描写が含まれるし、ベトナム戦争の戦場シーンは手持ちカメラによる撮影によってそれなりに臨場感もあるし、多少のグロシーンも含むので、ホラー映画といっても差し支えありません。


んで結局、ベトナムに飛んだり、現在に戻ってきたり、戻ってきたと思ったら悪夢だか地獄だかみたいな世界観だったり、夢だったり、突然家族出てきたり、事故死したはずの息子(マコーレ・カルキン)が出てきたり、陰謀論めいた展開になったり、数々の荒唐無稽なこれは一体どういうことなんぞ?って話なんですけど。

なんの躊躇もなく断言します。


これはベトナムでの殉死間際に観た夢オチです。


それ以上でも以下でもない。

冒頭、銃槍か何かで刺されて以降、もしかしたらそれよりも前、呆然としている時点からずっと夢オチ。2時間かけてジェイコブがヤコブの梯子を登るのを見せられる映画。(ジェイコブとはヤコブの英語圏での呼び方、読み方です。)

物語も前半の方で、あなたはケルビム(智天使)みたいだ。みたいなセリフまで飛び出す始末ですが、なんせだから本当のラス落ちのシーンは、劇中殆ど唯一の客観視点である現実のパートですね。


夢って誰にでも観た経験あると思いますけど、明晰夢は兎も角、夢と気付かずその明らかにおかしな世界に浸っているじゃないですか。明らかに取り留めのないシュールで不可解なことが起きている。


“今日、ママンが死んだ。もしかすると昨日かもしれないが、私にはわからない”


“(人を殺したのは)太陽が眩しかったから”


といったような『異邦人』さながらの不条理劇。

だからこの映画で荒唐無稽な奇妙なことが連続してても別に何もおかしくないんですね。だって最初から夢だもん。夢ってそういう不条理なものだもの。

不思議なことなど何もない。もしかしたら出てくる造形物にユング的性的なメタファーとか含まれてるのかもしれませんし、フロイトの夢判断とかあるかもしれませんけど、それにしても戦争によるPTSDの類が見せている悪夢なんじゃないですかね。つまり、主人公のPTSDの疑いを晴らせない、晴そうともしてない時点で反戦映画でもあります。でなければ、ホラー映画とは言え、ベトナム戦争における白兵戦のシーンをそこまで凄惨に描く必要性が希薄になる。あそこに意味を持たせるのなら、大前提反戦のメッセージ性がなければならない。でなければただの悪趣味である。ということで

ジェイコブス・ラダーの総評

マコーレ・カルキンが可愛いから星四つ!(可愛くなくても星4つ!)