今回から数回に分け、オーソドックスな歯列矯正の流れについて書いていきます。

歯列矯正では、審美的、機能的にきちんと歯を並べるために、小臼歯の抜歯をする場合が多々あります。

抜歯非抜歯の決定は、緻密な診査・診断に基づいて行うので、必ずしも患者さんの希望に沿うとは限りません。

例え非抜歯で治療できたとしても、結果的に出っ歯になったり、歯茎が異常に退縮したり(下がったり)、噛み合わせが悪くなるようでは本末転倒です。

患者さんの希望を尊重しつつも、医学的に正しい診断によって良い結果をもたらすような提案と治療を行うことが、われわれ歯科医の責務であると信じています。

みなさんが、良い歯科医療を受けるための参考に、そして疑問の解決への一助となれば幸いです。


では、典型的な歯列不正の症例を、数回に分けて解説していきましょう。
(治療の手法は、それぞれの先生の考え方、スキルによって異なることをあらかじめご理解ください)



Case1 Angle class1 

 
初診時。上顎左右側切歯の反対咬合。左側下顎第二小臼歯の転位。一見叢正(凸凹)は軽度に見えるが、上顎側切歯の舌側転移と下顎小臼歯の頬側転位の解消、そして噛み合わせの正常化には、上下左右の小臼歯4本の抜歯が避けられないと診断された。


 
上顎ブラケット装着時。 まず、犬歯を積極的に後方移動するため、側方歯群だけにブラケットを装着し、ループメカニクスを用いた。これは、側切歯を動かせる余地が無いことによる。仮にすべての歯にブラケットを装着すると、スペースが無いため、上顎4前歯は前方に突出することとなる。

 
 
6週間後、下顎ブラケット装着時。下顎は、レべリングと同時にスライディングメカニクスによって、犬歯および小臼歯の後方移動を行っていく。上顎は、側切歯が動かせるスペースが出来るまで、引き続きループメカニクスによる犬歯の後方移動を行う。


続きはpart2へ


  ブログランキング・にほんブログ村へ