口腔内の金属は、イオン化して溶出することが知られています。
特に、上下で異種の金属が入っていたり、隣合わせで異種の金属が入っていたりすると、噛むたびに異種金属同士が接触したり擦れたりし、微小電流が起こります。
この微小電流は、ガルバニー電流と呼ばれており、口腔内の異種金属が、さながら小さな乾電池のように働きます。
口腔内金属にスプーンやフォークが当たったり、アルミ箔を噛んだりしても、同様の症状が起こります。
電位差の大きい金属であればあるほど、この違和感は顕著になります。
口腔内にいろんな金属が入っていて、噛んだときに金属の味がしたり、ビリっとする場合には、このガルバニー電流が起こっていると考えて間違いないでしょう。
術前。異種金属が入っている。一見同じ銀歯でも、酸化による金属の黒ずみに差があることから、金属組成の違いは明らか
術後。セラミックによる治療を行った。審美性、機能性も満足のいくものになった
金属のイオン化は、金属アレルギーの原因となり、皮膚炎や掌蹠膿疱症、舌痛症、唾液分泌の増加、との関連が指摘されています。
また、ヒトの全ての生命活動は、神経線維を介した極めて微小な電気信号、により行なわれています。
したがって、ヒトの体は電気に対して敏感であると考えられます。
口腔内金属がアンテナの様になり、電磁波過敏症を発症する方もいます。
口腔内金属による健康への影響は、まだまだ分からないことが多いですし、完全には解明されるのは難しいかもしれません。
ただ、金属を除去してセラミックやレジンなどの材質に置き換えることで、原因が分からなかった不定愁訴が改善することがあります。
口腔内金属が気がかりな方は、金属アレルギーに精通した先生にご相談されるとよいでしょう。