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今回は、根管治療の偶発症であるリーマー・ファイルの破折について書きます。
リーマーやファイルは、根管治療(神経の治療)をする際に使う、非常に細い針状の器具です。
このリーマー・ファイルは非常に細い器具のため、根管治療の際に折れてしまうことがあります。
リーマー・ファイルを根管内に挿入し、根管長測定を行っているところ。非常に細い器具のため、金属疲労により破折することがある
特に、歯根が湾曲していて(わんきょく;曲がっていて)、根管が非常に細い大臼歯では、リーマー・ファイルの破折が起こり易くなります。
このような偶発症は、術者が経験不足である場合に起こり易く、また時間と心のゆとりのない時に起こります。
大抵の器具の破折は、歯根の湾曲した部分で起こるので、除去できないことがほとんどです。
歯根の先端に折れこんだリーマー・ファイルを無理に取ろうとすると、二重遭難(さらなる器具の破折)を起こしたり、パーフォレーション(歯根の横や先端に誤って穴をあけてしまうこと)を起こしたりするので、細心の注意が必要です。
もし、除去を試みても除去できないときは、どこかで処置をやめる判断をしないと、深みにはまり、最終的に抜歯せざるを得ない状況になってしまいます。
この判断が極めて難しい。
また、破折片を除去出来ないときには、破折片の横にバイパス(側道)を作り、折れたリーマー・ファイルを残したまま根尖(こんせん;歯根の先端)まで清掃する方法もあります。
例え、折れたリーマー・ファイルが残った状態でも、必ず根尖病巣が出来るわけではありません。
除去する努力は必要ですが、やり過ぎは歯を失います。無理は禁物です。
いずれにしても、器具を折らない繊細な手技が大事なのです。
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