今回は、歯科で治療された補綴物(詰め物や被せもののこと)の寿命について書きます。

 

 あまり大きくない虫歯は、虫歯の部分を削り取り、インレーやレジン(プラスチックのようなもの)という詰め物をいれます。

 

 虫歯が大きくなり、インレーなどの詰め物では歯の形を回復することができなくなると、歯を2回りくらい小さく削ってクラウン(被せもの:冠)にしなくてはなりません。

 

 

 歯の神経をとった場合も、やはりクラウンにする場合が多いと思います。これは、神経を取った歯の場合、インレーでは歯にくさびの力が加わり、歯根破折、さらには抜歯になるリスクが高くなるためです。

 

 

 さらに重度の虫歯や歯周病、歯根破折などになり、やむを得ず抜歯しなければならなくなった場合、その歯の手前と奥にある歯を削って、橋桁のように歯をつないでダミーの歯を入れるブリッジにします。

 

 

 それぞれの平均使用年数(平均寿命)は、少し古いデータではありますが(1995年)、インレー4.6年、クラウン7.1年、ブリッジ8.0年というデータがあります。

 

 

 このデータをみなさんはどう思われますか?

 

 

 このデータに関する限り、意外と歯の治療の寿命は短いなと思います。ただし、これはあくまで疫学的な調査によるものですので、保険診療や自由診療などの違いによる治療の質や精度の差は考慮されていないと思います。

 

 

したがって、きちんと治療されたものであれば、10年、20年、場合によってはそれ以上もっているものもたくさんあります。

 

 

 もちろん、予防が一番大切なのは、みなさんよくご存じの通りですが、一度治療した歯はなるべく再治療をしなくて済むよう、歯科医師と患者さんの双方が努力を払い、いつまでも自分の歯で過ごせるようにすることが大切ですね。