【フランス語】フランスの役職、どう訳す?
「セーヌ川」つながりで。
先日読んだ記事はこちら。
・北ヨーロッパ、セーヌ川間運河計画、35年の話し合いにも関わらず一度も着工せず(ル・モンド)
昨日は個別指導があり、一昨日は大阪で妹とイベントに行ってた関係で更新が滞りました。
それくらいで更新が途絶えるなんて・・・。もうちょいタフになりたいですね
それはそうと、今回の記事、実は全部読めてないんですよね・・・
なぜかというと、フランスの役職をどう訳すかで一時間くらい悩んだ挙句、明確な結論も出ないまま折れたから。
上の記事でいえば、陸路と運河での運搬とにかかる費用や時間を比較したイラストのすぐ下あたり。・・・はい、記事の導入部分ですね。
そこに、ジェラルド・ダーマナン(Gérald Darmanin)大臣とエリザベス・ボルン(Élizabeth Borne)大臣が「運河は実現する」と述べたという内容が書かれています。
問題は、二人の役職。ダーマナン大臣は"le ministre des comptes publics"、ボルン大臣は"la ministre des transports"という職についているという説明があります。
この二つの単語に私は一時間もくわれました。
ではこの二つがどのような役職を示しているのか、結局フランスの内閣の公式ページが一番わかりやすかった。
http://www.gouvernement.fr/composition-du-gouvernement
これによると、ダーマナン大臣は正式名称"MINISTRE DE L'ACTION ET DES COMPTES PUBLICS"という職業についていて、ボルン大臣は正式名称"MINISTRE AUPRÈS DU MINISTRE D'ÉTAT, MINISTRE DE LA TRANSITION ÉCOLOGIQUE ET SOLIDAIRE, CHARGÉE DES TRANSPORTS"という職業についています。
わからない単語があればとりあえず辞書を引くというのが定番ですが、これらの単語が辞書に載っているはずがない。
なぜかというと、この二つの職業は今年5月のマクロン政権誕生に伴い新しく設置された役職だから。日本語のWikipediaもありません。
日本よりもずっと内閣の再編成に手がこんでいるようで、フランスでは内閣の顔ぶれが変化すると省の名前やシステムも複雑に変化します。
というわけで、昔あった省がなくなったり新しい省が生まれたりというのは日常茶飯事。参りました。
新しい職業を訳す時には新しい訳語を考えなくてはなりません。
適当な訳語がない時、まず考えるのは「日本に相当する役職があるか」ということ。
前者ダーマナン大臣は、要は内閣それぞれの部署がどれくらいの予算を使えるのかを管理する部署のトップ。
日本では財務大臣の仕事にあたります。
日本の財務省の仕事では重要な税のシステムは担っていないなど大きなシステム上の違いはあるようですが、とりあえず「財務大臣」としておくのが適当な気がします・・・
しかしボルン大臣の場合はそうもいかず・・・
直訳すると「国務大臣のもと、交通を担当する環境変化およびそれにまつわる事項の大臣」となるでしょうか。
これを使うわけにもいきませんので、省略して「環境変化・・・」以下の部分を抽出したとしても、ニコラ・ユロ(Nicolas Hulot)という方が現職で"MINISTRE D'ÉTAT, MINISTRE DE LA TRANSITION ÉCOLOGIQUE ET SOLIDAIRE"という職についているのでややこしい。
「主に交通を担当する」となっているし、原文でla ministre des transportsとなっているから、苦しいかもだけど「交通大臣」とするのが適当かな・・・と。「交通省」にあたるものはない(通称「エコロジー省」と呼ばれる所の傘下なので)ため、正確に「交通省大臣」とはできないのが惜しい。
今回は練習だからいいものの、受注した翻訳でこんな長いことかかってたら迷惑がかかる。
というわけで今回の結論としては、困ったら原文のニュアンスに従うということ。
原文で略称しか書かれていないのは、煩雑さを嫌うがゆえでしょう。だからそれに従い、こちらもシンプルに「要はこういうことをしている人です」というのを示せればOK。というよりむしろ原文のニュアンスを伝えていて、好印象かもしれない。
単純に話がざっくりしすぎててわかりにくい場合は翻訳の際に説明的な語句をかまわないでしょうが、その「ざっくり」さに意味があるという場合はそれに従いましょう。
というわけで長々と失礼しました。
ではでは。