肺がんは、日本では、男性の死亡原因の第1位、女性の死亡原因の第2位となっている、がんの中でも、最も死亡率の高いガンです。
(図引用:肺がんをまなぶ、ファイザー)
水素ガス (H2) は、数種類の癌において抗腫瘍の役割を果たすことが確認されていますが、とりわけ肺がんに対する補完的治療としての有効性がわかってきています。
しかし、その分子メカニズムはほとんど不明のままですが、そのメカニズムも徐々に解明され始めています。
細胞には、マクロファージなどの免疫(癌細胞などを貪食する)から身を守るたんぱく質で、あやまって、免疫細胞の攻撃を受けないないようにする CD47というたんぱく質があります。
肺がん細胞には、このCD47というタンパクをつくるために、免疫細胞から攻撃を受けにくくなり、がん細胞自身の生存率が高まり、増殖や転移が起こりやすくなるのが、肺がん細胞の特徴です。
ところが、水素を処理すると、肺がん細胞は、CD47 を作る能力が低下して、マクロファージ媒介の食作用を強化されることが分かってきたのです。
したがって、水素療法は、肺がん治療戦略の一つして有望視されてきています。
水素療法は、がんの発症の最初のメカニズムである、ミトコンドリアの崩壊によるヒドロキシラジカルによる血管障害を取り除くこと、肺がん細胞のCD47の働きを阻害するダブル効果で、他のがんよりも有効性が高いことが分子レベルのメカニズム研究でわかってきました。
ただ、CD47阻害効果の報告は、細胞レベルでの分子レベル研究で、生体内におけるメカニズムの実証研究が待たれる状態です。