口臭ガス(口臭のにおいの正体)の約80%はお口の中で発生しています。
その発生源は、液体である唾液からです。
一般的に、加齢が進むと、生理的な口臭はひどくなっていきます。
しかし、若くても、ひどいストレスや、悩みを抱える口臭症の人の場合も、生理的口臭はひどくなっていきます。
生理的口臭のレベルが高い若い人と疾患がない生理的口臭レベルの高い老人に共通点があります。
それは、唾液の質がネバネバしていることです。
この原因は、なんでしょうか?
私は次のように考えています。
唾液腺には、お口の中にたくさんありますが、まとまった大唾液腺は3つあります。
それぞれの唾液腺から分泌される唾液には特徴があるのです。
唾液には、酵素に富み濃厚で粘り気のある「粘液性の唾液」とサラサラしたみずみずしい「漿液性(しょうえきせい)唾液」があります。
水のような漿液性唾液は、濃厚な粘液性唾液を希釈して、お口全体に行きわたらせ、飲み込みやすくして流れを作る働きがあります。
上に示した3つの唾液腺のうち、実は、耳下腺から分泌される唾液に秘密があります。
実は、耳の下(上の奥歯のあたりの頬)に存在する耳下腺から、水のような唾液を大量に分泌されているのです。
加齢によって、この耳下腺からのサラサラ唾液が出なくなっていく理由は、フレイル(病気ではないけれど、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、機能の低下していくこと)や機能低下が関係します。
それは、耳下腺から唾液を出すための加齢に伴う筋肉の衰えや、使わなくなる(会話や笑うなどの機会が減る)習慣が原因です。
耳下腺は耳の下のあるるために、耳下腺周りの筋肉の動きが非常に重要です。
これは、会話や笑い、摂食などに使う顔の側方(頬側)の筋肉の動きです。
進行すると、いつもネバネバした不快と、頬の周辺の筋肉も垂れ下がり見た目も無表情な感じに見えてきます。
では、若い口臭症の人の場合に、なぜ同じことが起こるのでしょうか?
深刻な悩みや、コミュニケーション疎外などの精神的要因を背景に、できる限り会話を避け、笑わなくなり、使わないことによる若年性のフレイル、その結果、元気のない、表情のない顔つきになるのが特徴です。そしてやがては、口腔内のマイクロバイオーム(細菌叢)も劣化していっていることは検査結果でもわかります。
もう一つの大きな原因があります。
実は、耳下腺からサラサラした水のような唾液を出す仕組みは、自律神経系によって支配を受けています。
このサラサラ唾液の分泌は、リラックスしている時に働く副交感神経のコントロールで分泌されます。
したがって、一日中悩んでしまったり、精神的なストレスを抱えている間は、いくら水を飲み、マッサージをしてもリハビリをしても頑張ってもサラサラした唾液は出てこないのです。
このことは、自律神経機能の精密検査を行うことでわかります。
その結果、若くして老人と同じようなフレイルに陥るのです。
その先にあるのは口腔内の微生物環境の悪化でますます生理的口臭はひどくなるのです。
悩んだり、ストレスを受けたときは、笑えるようなことをしてみる、一人カラオケでもいいから声を出してしゃべってみるということが重要です。
さらに、悩めば悩むほど深刻になりますので、生理的口臭は、どんな人もある口臭ですから、いったんあきらめて、意識的な気分の転換が重要なのです。
ある程度の生理的口臭は認めるところから、過剰な不安は起こらなくなります。
まさに、口臭や口腔機能は、「病は気から」そのものので、精神状態に大きく影響を受けます。不安やストレスの持続は、脳神経系、自律神経系に影響を与え、この唾液の機能を著しく低下させて生理的口臭はひどくなってしまうのです。
最近老齢医療の領域でも、「笑い」を取り入れた取り組みが行われるのは、笑いを通じて口腔機能を活性化させ全身の免疫を活性化させる目的があり、その効果は証明されています。
悩みは誰にでもありますが、悩んだら笑いに転換できるすべを身に着けるといいでしょう。
笑いには多くの、ことわざや偉人たちが言葉が残されています。
【ことわざ編】
「笑いは百薬の長」
「泣いて暮らすも一生笑って暮らすも一生」
「笑って損した者なし」
「笑う門には福来たる」
【偉人の名言】
「何を笑うかで人間がわかる。笑えば人間は変わる」(斎藤茂太)
「笑いは自分より強いものを倒す柔らかい武器」(夏目漱石)
「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」(ウィリアム・ジェームズ)
「笑顔は女の子ができる最高のメイク」(マリリン・モンロー)
「平和は微笑みから始まる」(マザー・テレサ)
「笑顔は1ドルのもとでもいらないが、 100万ドルの価値を生み出してくれる」(デール・カーネギー)
「ほかの誰かの元気な笑顔のために自分が生きていることを、私たちは知っている。それは自分の幸福を支えてくれているんだ」(アルベルト・アインシュタイン)
「お腹の底から笑えば元気になる」(浪越徳治郎)
「笑って許して」(和田アキ子)
ところで、みなさん、最後に笑ったのはいつですか?
サラサラ唾液で悩んいる皆さん!日々の暮らしの中で、笑いを意識してください。
きっと何かが変わるはずです