古くから、東洋医学では「嗅診」と言って、患者の体臭や、口臭をかぎ分け診断する方法がありました。

現在は、その方法はさらに進化して、呼気をガス分析して代謝異常疾患や脳疾患を診断する方法や、ほかの病気の診断方法に応用され研究されています。

病気と体臭や、口臭は密接に関連しますが、確定診断は難しいです。


しかし、初期には発見しずらい肺がんは、癌検知犬はにおいをかぎ分け90パーセント精度でかぎ分けることが知られています。

犬の嗅覚は、人の10000倍といわれているので、訓練さへすれば病気ごとに犬の嗅覚による精度の高い診断が可能かもしれません。

しかし、さすがに、死期を100%においによって予知できるとしたらどうでしょうか?

死期が迫ってくると、人間にはわからない特有のニオイを発するようです。

死期をニオイで識別する猫・オスカーの話です。

老人病専門医のDavid Dosa博士の書物からです。

 



今から10年ほど前の実話です。

オスカーという子猫が、重度の認知症の患者をケアするロードアイランド州プロビデンスの Steere House Nursing and Rehabilitation Centre に引き取られました。

オスカーは普段は病室から病室へとウロウロ歩きまわっていますが、数時間後に死ぬ患者のにおいを嗅ぎつけると、ずっと患者のもとに居座るのです。
そして、その患者の臨終に寄り添い続けるのです。

その的中率は、100%で、医療従事者の予想をも超えていたそうです。

あるとき、看護士らが「余命わずか」と感じていた患者のベッドにオスカーを載せたところ、オスカーはすごい勢いで飛び出してほかの病室へ行き、その病室の別の患者のそばに座りました。

 

オスカーが駆け込んだ病室の患者はその夜のうちに息を引き取り、看護士が余命数時間と考えていた方の患者はその後2日間もったとのことです。

オスカーが、ある患者のもとにずっと居座ると、必ず数時間後に亡くなります。

1人の患者のそばにずっと居るということはないのですが、死の数時間前だけはその患者のそばを離れなかったそうです。

 


Dosa博士や病院のほかのスタッフらは、オスカーがベッドに飛び乗り患者に添い寝をしだすと、その患者の家族に知らせることにしているようです。

Dosa博士はオスカーのこうした行動は、死に直面し、体細胞が死滅する時の体臭・呼気臭をオスカーは、かぎ分けているのだろうと推察しています。

おそらく、死体の臭気であるカダベリンというジアミンガスをオスカーは感じることができるのではないと思います。

カダベリンガスは、歯周病が進行すると歯茎が炎症を起こし腐敗するときに発する刺激臭です。また、死体から発するので「死体臭」とも呼ばれています。

 

死期が迫ると、体の一部の組織が死滅してかすかにジアミンガスを放出するのかもしれないですね。

オスカーは、死の使者、死神と恐れらるのではないかと思いきや、患者の家族や友人はオスカーを不気味がることはなく、患者の最期にオスカーが寄り添ってくれること、たとえ、近親者が臨終に立ち会えなくても、そこにオスカーがいてくれることに感謝したそうです。

口臭症の患者さんの中に、通常では感知できない低濃度の口臭ガスを感知できる人がいます。

歯周病検査を実施しても問題ないにもかかわらず、患者が悪臭がすると訴える1本の歯からはかすかな出血があった、ということも経験します。

嗅覚の能力は個人差があるのですが、かすかな口臭を事前に察知する能力は、不安の元にもなりますが、歯周病などのリスクをいち早く察知する防衛能力かもしれず、一見口臭に問題のなさそうな患者さんの訴える口臭を感じる部位を精査すると、問題があることが多いのです。

 

口臭の自覚は、ある意味、病気を早期に察知する自己防衛かもしれないですね。