一般的な、白苔の形成には、カンジダ菌という細菌とは異なる真菌(カビ)が関与しています。

通常の白い舌苔は粘膜と背接触面に真菌類(カンジダ菌)が生息し、舌粘膜に食い込み、その上に角質化した舌粘膜の新陳代謝できなかった不良たんぱく質や飲食物残差、などが堆積していき、その堆積物の中は嫌気的で、悪玉の嫌気性菌やウィルスなどの巣窟になっています。
通常の白い分厚い舌苔の大半は真菌層の上に堆積した不良たんぱく質なのです。
(VIA:Wikipedia

したがって、ブラシで全部取ろうとすると、真菌の菌糸が粘膜に食い込んでいますので、粘膜ごとはがれ、取り除いたあとは、赤くなり炎症が起こります。
 

しばしば、味覚異常が起こることもありますが、真菌は粘膜に食い込んで成長しますから、舌苔が付きやすい原因を取り除かない限り、再び復活し、白い舌苔は慢性化します。真菌が絡んでいますから、原因となる要因を取り除かない限り、完全に取り除くことは非常に難しくなり慢性化します。

治療方法としては、ブラシではなく、ヘラ(タンスクレーパー)のようなもので、堆積物のみ、除去し(この段階では、まだ白苔は存在します。)

その後に殺菌剤を使用したり、細菌叢の殺菌を試み、その後に、抗真菌剤を使って、真菌を撲滅したのちにプロバイオティクスによって善玉菌を移植する。

同時に、根本的な問題に対して舌のトレーイングや舌をよく動かせながら新鮮な唾液の流れを確保することが重要です。

また、漢方薬の活用も有効と考えられます。

ほんだ歯科では、無臭化もかねて、真菌のたんぱくを崩壊させる効果のある高濃度二酸化塩素製剤(口腔内化粧品)を使用します。しかし、撲滅させるには、対症療法だけであれば根本的な解決は図れないように思います。

よく間違うものに、口腔真菌症(カンジダ症)があります。どちらも真菌(カンジダ菌)が関与していますが口腔真菌(カンジダ)症の場合は、真菌のプラークのみで形成れています。(不良たんぱく質の堆積はない)

舌だけでなく、歯茎や、口蓋粘膜(お口の天井粘膜や)にも広がり、通常の白苔とは異なり、白さは、「雪のような白」で「乳かすのような」状態に見えることが多いです。同時に、白い苔の周辺が赤みを帯びた糜爛や炎症を認めることが多いです。

したがって、ある程度見た目でも鑑別しやすいです。

(通常の白い分厚い白苔)

(カンジダ症のよる白苔)

(VIA:Jillian W. Millsop MD, MS, Nasim Fazel MD, DDS: Oral candidiasis, Clinics in Dermatology, Volume 34, Issue 4, July–August 2016, Pages 487-494


カンジダ症は成人では、ほとんど起こりませんが、ステロイド剤、抗生物質の長期服用により免疫細胞のTセルの減少によっておこります。

実際私が遭遇した、若年層(30代)のカンジダ症はエイズ患者でした。エイズ患者では免疫不全になりますので、よく起こります。口臭は、「苦いかび臭い」臭気でした。

通常、免疫システムの不完全な乳児に多く、積極的な治療をしなくても口腔内の清潔保持に努めるだけで、免疫ができてくれば自然治癒します。


 

(乳児の口腔内カンジダ症)(VIA:MERCK MANUAL)

乳児の場合は、口の中にルクかすがいつまでも大量に残っているように見えます。また、周辺は赤い色をしています。
乳児の口腔内カンジダ症は「鵞口瘡(がこうそう)」とも呼ばれています。

年寄りの場合は、白板症という前がん症状から真菌症に陥ることがあります。

(自宅でできそうな鑑別方法)

1.見た目に雪のように白くミルクかすのように見えて舌以外の粘膜にも見られる場合は「カンジダ症」の可能性が高いです。(主として乳幼児の場合)

2.1のようにガーゼで白苔を取り除いたあと、軟膜が赤くなっている場合は、カンジダ症の可能性があります。

3.カンジダ症は口臭は「苦いカビくさい」臭気です。通常の分厚い白い舌苔は「生臭い」臭気であることが多いです。


(なぜ、口粘膜や舌にカンジダ菌が感染してしまうのか・・・その予防

ここからは、私なりの考察です。

一般的に「カンジダ症」は女性の「膣カンジダ症」が一番多いです。

女性の膣は、通常弱酸性になっています。(高齢化とともに中性から弱アルカリ性になります)

若い女性でも抗生物質を連用すると膣内の乳酸菌がダメージを受けて、アルカリにかたむき、常在しているカンジダ菌が幅をきかせる(菌交代症)のでなりやすいですが、抗真菌剤で治療ができます。(カビ類には殺菌剤や抗生物質は効かないのです)

乳児の口腔内も通常は、膣と同じ弱酸性です、その結果、膣由来の乳酸菌が多く、乳酸菌によって免疫が確立するまでは悪玉菌の繁殖を抑えています。

カンジダ菌の生育は幅広いpH(酸性からアルカリ性)でも生育が可能ですが、どちらかというと弱アルカリ性で、生育がか活発になります。

カンジダ症の臭気は「苦い」臭気が特徴で、口腔内がpHが高くなると苦い臭気が起こリます。したがって、口腔内のpHが高く(アルカリ性に傾く)なればカンジダ症へのリスクが高くなると思います。

一般的に口腔内のpHは6.8くらいで弱酸性ですが歯周病などの慢性炎症があったり高齢者になるとpHは高くなります。

乳児の場合は、免疫が低いうえにミルクを口に含むと分解されて、システインを含む硫黄ガスを作り出し。それが唾液に溶けてpHが高くなるのではないかと思っています。

したがって、対策としては口腔内のpHを最適に維持していくことが重要で、これは舌の動きと連動する新鮮な唾液の流れによってできています。

何らかの病的要因による免疫低下を抑制することと唾液の自浄性・恒常性維持・さらには舌の活発な活動が白い舌苔やカンジダ対策としては重要ではないかと考察しています。

 


 

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