歯周病が起こると、ドブ臭い、硫化水素と、メチルメルカプタンという口腔内ガスが高くなります。


これは理解できますね・・・歯周病が鶏で、口臭が卵の関係です。

しかし、歯周病ではない人が、仮に舌の奥の方に、不良な舌苔を作った場合、その舌苔には悪玉菌が増殖します。
また、唾液分泌量が少なくなったり、ストレスの持続などにより唾液の流れが確保できなくなったりして、口腔内の自浄性(常に清潔を保持する唾液の能力)が低下すると、口腔内細菌は悪玉が増えてきます。

そして、システインというアミノ酸があった場合に、舌の奥の方から、舌苔由来の揮発性硫黄ガスが発生すると、これらのガスは「毒ガス」にも指定されているガスで、粘膜に対して粘膜の透過性を亢進させることがわかっています。

(Ref:Ng, W. and Tonzetich, J. : Effect of hydrogen sulfide and methyl mercaptan on the permeability of oral mucosa. J. Dent. Res., 63 : 994-997, 1984.)

粘膜の透過性が亢進するするということは、歯周病が出す毒素が、歯肉に浸透し、やがては歯周病を引きこす結果になるのです。

つまりこの場合は、口臭が鶏で、歯周病が卵の関係です。

したがって、生臭いドブ臭い口臭がある場合は、歯周病も併発していることが多く、どっちが先だったかわかりません。!?

 

口臭外来の患者さんは、意外にも、思い悩まれている人が多く、まずは歯科を受診されており、特に歯周病には気をつけておられ定期的に管理まで受けておられる人が多いのですが、生臭く、ドブのような口臭を起こしている人が時々おられます。

この場合の多くは、唾液の質の低下や、唾液の流れが悪く、持続的な緊張から舌の奥に白苔を抱えている人が多く見られます。

 

歯周病をコントロールするためにも、口臭をコントロールすることは、取りも直さず、歯周病予防にもなるのです。

口腔内の口臭と、歯周病は表裏一体のものなのです。

よく似た社会現象に、落書きと、治安の悪さがあります。

落書きが増えると、治安が悪くなる。治安が悪い場所には、落書きが多くなる。

 

1980年代 ニューヨークの地下鉄は、かつては落書きだらけで、治安が悪かったのですが、落書きを撲滅すると、治安が良くなりました。


(1980年代)

(現在)

同じ関係ですね・・・

実は口臭外来は、口臭から、歯周病を予防し、歯周病の早期発見と治療も行っているのです。

 

 

 

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第1章 あなたの口臭は「気になる」だけですかー現代人の多くが口臭症またはその予備軍/第2章 口臭が発している「警告」を見逃すなー医学的にみた口臭の正体/第3章 知られざる「口臭外来」の世界ー最新医療情報と研究の成果/第4章 「最先端医療」が口臭に悩む人生を変えるー日々進歩する口臭症治療と検査機器/第5章 口臭は「セルフコントロール」できるーQOLを高める暮らしの医学/口臭に関するQ&A
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