【ラジオ】マイ!あさ | quarters

quarters

いろんなライブの記録。二丁目の魁カミングアウト・きのホ。・ONIGAWARA・ RAG FAIR・ズボンドズボンなど。

2023.12.21 ラジオ第1『マイ!あさ』

ミキティー本物インタビュー



『エンタメにセクシュアリティーは関係ない 性的マイノリティーの理解を考える』

(小野文明アナウンサー)



・二丁目の魁カミングアウトについて

二丁目の魁カミングアウトという男性4人組

東京新宿を拠点に活動中

およそ100人のファン、20〜30代が中心、女性が7割くらい

メンバーの衣装はピンクのジャージでメイクはしているが、それほど濃くはなくて、一般的な男性アイドルと思う見た目

ダンスは4人の息が合ってキレもある



─── 今の活動の手応えについて



「100人200人とか1000人とかそういう単位じゃなくて、1人の人と出会って、『あ、この人は私たちの曲が本当に必要だな』っていうので深く狭く広がっていきたいってのがあるので、そっちの手応えは感じます」



─── ミキティーさんは子どもの頃からアイドルになろうと思っていた訳ではなく、憧れてはいたが、アイドル活動を始めた10年余前であったりミキティーさんが子どもの頃は今ほどLGBTに対する社会の理解が無いこともあって、『ゲイの自分がアイドルになれる訳がない』と思っていました。

そんなミキティーさんの転機になったのは20代の頃、踊りが得意なゲイを集めて女性アイドルとダンス対決をするという民放のテレビ番組の企画でたまたま声が掛かり出演したことでした。そこで自分の考えが大きく変わったと言います。



「ステージに立った時に『なにあれw』みたいな感じで笑い者にされると思っていたのが、逆にすごい盛り上がって楽しそうにしてて、ゲイとしてこうステージに立っても、なんか響く人には響くっていうか、楽しませることはできるんだなっていう風に思ったので、『あ、こっからゲイアイドルを始めよう』って思ったんですよね」



─── 始めたきっかけこそそんなポジティブな経験からでしたが、いざ始めてみるとアイドルとしての駆け出しの頃は険しい道のりでした。ステージ上のミキティーさんたちに向かって『出てくるな』『気持ち悪い』などと暴言を吐かれたり、中指を立てられたりしたこともあったそうです。

ただ “ゲイのアイドル” は前代未聞の存在ですから、一定の否定的なコメントが出てくることは覚悟できていたとミキティーさんは言います。そこはまだ耐えられたものの、ミキティーさんが本当に耐えがたかったのは同じ業界の関係者からの言葉でした。



「私たちはその『バナナを美味しそうに食べて』みたいなことをなんか企画で出されたりして、ゲイだから、ゲイってそういう印象だから、ま仕方ないのかなと思って、もほんと全力でやりたくないことをやってたんですけど、うーん、いつまでそんな時代が続くのかなとか思いながらやってて、結構すり減らしてたっていうか、感じはしましたね。うん」



─── ミキティーさんは『ゲイでも色んな人がいる』ということを伝えたいのに、逆に自分たちのせいで『ゲイ=下ネタ、面白い』というイメージが助長されるという矛盾が苦しかった、とも話していました。子どもの頃から憧れ、ようやくできるようになったアイドル活動が苦しみを伴う活動になってしまったということです。性的指向に関わらず純粋なアイドルとして見てほしいと思っていたものの、なかなか一筋縄ではいかず、厳しい時期が続きました。


二丁魁の曲の作詞をするにあたり、歌詞の多くは自分の悩みについてのものでした。たとえばLGBTについての歌もあり、


『僕が生まれた時は世界にたくさんの普通があって』

『普通の幸せはいくら探しても何よりも見つからなくて』

『結婚して子どもを産んで素敵な家庭を持つ そんな絵に描いたようなものしか愛とは呼べませんか?』


こうした歌詞へのファンからの感想がミキティーさんにある気付きを与えてくれました。



「その時はまだちょっとこー、無理してた自分も居たんですよ。でも、やっぱり私の歌詞を見た時に、ファンの人とかはあのー、『ミキティーはほんとのミキティーのままで良いと思うよ』って、その、言ってもらえて、そこからなんか自分を作らなくなりましたね」



─── これをきっかけにミキティーさんの中で活動の方向性が固まっていきました。活動にあたって自分たちで決めたことがあります。『いわゆるオネエ言葉は使わない』。『不快なリクエストは勇気を持ってNGを出す』。こうして、相手が求める『ゲイっぽさ』に迎合せず、一方で自分たちがゲイであることは隠さず、歌や踊りで人を喜ばせることを堂々と目指すようになっていきました。


二丁魁のありのままのアイドル活動は支持を拡大していき、2017年には国内最大級の女性アイドルグループをメインにしたアイドルフェスに男性グループとして初出演を果たして今に至ります。


最後にこの先どんなアイドルであり続けたいか伺いました。



「ファンの人が私たちのことを好きっていうのは、『諦めない姿勢』みたいなのがたぶん好きなんだと私は思うんですよね。うーん。だから、なんか、まこれからもなんか自分に嘘はつかないで、いるグループでは居たいなと思うし、どんなことがあっても、すっごいゆっくりになっても良いから、前に進むことは止めたくないなって思ってますね」