日曜日に、いつものように庭で遊んでいた5歳の男の子が、突然この世を去ってしまった。

今週からキンダーガーデンに通うはずだった

Cannon Hinnant（キャノン・ヒナント）君を銃で殺害したのは隣人の黒人男性。

キャノン君は白人の男の子。

私の下の娘と同じ5歳。たった5歳のキャノン君。こんなに幼い子供の命が他人に奪われてしまうなんて。。。

銃声を聞いて慌てて父親が庭に出ると、

さっきまで元気に遊んでいたキャノン君が

血まみれで倒れていた。

隣の家の庭には銃を持った隣人。

隣人は慌てて逃げたが、翌日隠れていたのを発見され、第1級殺人の疑いで逮捕された。

この事件を受けて、#justiceforcannon（キャノンに正義を） #alllivesmatter（全ての命が大事）などのハッシュタグが広がった。

「だから”Black Lives Matter”は間違っている」とか、何でCannon君が亡くなってもデモや暴動が起こらないのかという意見多く見かける。

日本人の知り合いが「黒人が差別されるのはカルマだ」とソーシャルメディアに載せていてびっくりした。

5歳のキャノン君が亡くなってしまったのは本当に悲しい。同じ親として心が痛い。

キャノン君を殺害した男性は当然第1級殺人罪で処罰されるべきだし、そうなるだろう。

もちろん、犯人がどんな罪に問われても、どんな罰を受けても、キャノン君の命は二度と戻ってこない。。。

でも、この事件とBlack Lives Matterは別の問題。

今回の事件の被害者は小さな何の罪もない白人の男の子で、加害者が黒人男性というのは疑いようのない事実。

でもだからと言って、「ほら、黒人はこんなに悪い。だから黒人は自分達の権利を主張するべきではない」というのは完全に的外れな意見。

人種に関わらず、全ての命が大切。キャノン君の命も、ジョージ・フロイドさんの命も、

ブリオナ・テイラーさんの命も、同じように価値のある命だった。

もちろんAll Lives Matter。そしてBlack LivesもMatter。

キャノン君を殺害した男の動機はまだ発表されていないが、犯人が白人に対して差別意識があったのではないかという情報もあるらしい。

人種差別は、ある人種からある人種への一方通行ではなく、様々な人種間で存在する。個人的な差別の場合もあれば、社会や組織レベルでの差別もある。

Black Lives Matterが戦っているのは、システム化した人種差別。社会に根付いた人種差別。

キャノン君は一人の大人の残虐な行為の犠牲者となってしまったが、Black Lives Matterとは別の問題。ここで、「こんなに幼い白人の子供を殺害する黒人は悪だ。デモをしている場合ではない」

という主張をしていること自体が、人種差別のシステム化につながっているのだと私は思う。

ブリオナ・テイラーが自宅で警察に射殺されてから5ヶ月が経っても、殺害した警察官は罪に問われていない。テイラーさんが白人だったら、

テイラーさんがアジア人だったら、同じように寝ている間に警察に殺されてしまっただろうか？きっと違う。

フロイド氏の死後、「でも彼は偽札を使っていた。」「でも彼には犯罪歴があった。」という意見が多く出た。

これらの「でも」は人種差別を正当化する理由にならないし、殺害を正当化する理由にもならない。

黒人差別がカルマだと言った知り合い。

数十年もアメリカに暮らしていてそんなことを平気で言うなんて、彼女にはこの先もずっとBlack Lives Matterの意味を理解できないだろう。

ちなみに、最初に載せたインスタグラムのスクリーンショットは、元NBA選手のStephen Jacksonのポスト。Stephen Jackson（スティーブン・ジャクソン）は元々人種差別に対する意見を強く主張するタイプだったが、フロイド氏の死後、毎日のようにBlack Lives Matterの活動をしている。

ジャクソンはフロイド氏と同じ町で育った、昔からの友達だったのだ。

下記はスティーブン・ジャクソンが自身のインスタグラムにキャノン君のスクリーンショットと一緒に載せたもの。

"Rest Easy lil bro. My mama raised me right. My heart has always been in the right place. My heart hurts for this family. Most won't post this but I will because these the people we need to get rid of no matter what race they are. Evil comess in all colors and that's who I'm fighting. Sending prayers and love to #cannons family. I'm glad he's in jail. The same place #GeorgeFloyd and #BrionnaTaylors murderers shoud be. "

「幼い男の子のご冥福をお祈りします。僕は（人に思いやりを持つようにと）母親に教えられ、育てられました。僕の心は常にあるべき場所にある。この子の家族のことを思うと心が痛みます。（Black Lives Matterをサポートする）多くの人が（キャノン君に関して）ソーシャルメディアで語らないだろうが、僕はあえて載せます。人種に関わらず、こういう悪を取り除かなくてはいけない。悪はどんな人種にも存在し、僕はそれと戦っている。キャノン君の家族に愛と祈りを捧げます。せめて犯人が刑務所に送られて良かった。そして、そこ（刑務所）がジョージ・フロイドとブリオナ・テイラーの殺人犯も送られるべき場所です。」

5歳児の死とAll Lives Matter。そしてBlack Lives Matter。