久しぶりに顔を合わせた父が「これ読むか?」とよこしてきた。
かつて映画化されたベストセラー、さらに今、単行本になってまたベストセラーになっている『半落ち』だった。

「読まないなら、会社のやつに貸すから」と差し出した黒い表紙をひっこめようとするので、「いやいやいや・・・」とか言いながら手を出した。他にも読みかけの本があるんだけど、「早く読めよ~」と急かされて、慌しく読み終えたところ。・・・ゆっくり読ませてーな。

『半落ち』の映画は、飛行機の中で映画を目にしたことがある。
だけど、裁判のシーンをなんとなく眺めただけでほとんど夢の中にいたため、私の脳内にあるシーンが本当に映画のシーンにあるのかどうかは定かではない。映画の公式サイトを見る限り、頭の中で演じてるキャストと映画のキャストが一致してるから、あってると思うんだけど。

(→ 映画公式サイト


現役警察官の梶(寺尾聰)は、アルツハイマーの妻・啓子(原田美枝子)を同情から扼殺する。温厚で生真面目、人情に厚い警察学校の指導教官だった梶の起こした事件に、警察内部は騒然とする。梶は自ら警察に出頭するが、それは事件を起こしてから不可解な2日間が過ぎた後の事だった。

上層部では「梶は死に場所を求めて2日の間を彷徨っていたんだ」と発表するが、ある新聞社の記者がナゾの2日間に梶が新宿・歌舞伎町にいたことをスクープしてしまう。


志木警視(おそらく、柴田恭兵。刑事役が多いなぁ)が梶の取調べ担当に任命される。梶は事件については隠し事なく語るが、2日間については一切黙秘をする。
「梶だって男だ。最期を迎える前に女を求めることもあるだろう」と、志木警視は自分を納得させようとする。だが、それにしては梶の澄み切った目が本当は何を語ろうとしているのかが、はかりきれずにいた。そのまま、事件は志木警視から離れた。

裁判の日。
検察側も弁護士側も、2日間を争点にしようとしなかった。
「誰もが不可解に思っていることをなぜ、誰も口にしようとしないのか」と左陪席裁判官の藤林(吉岡秀隆かな?)と憤る。彼にもアルツハイマーを患う父がいた。

裁判を傍聴していた志木警視は、淡々と進みすぎる裁判に溜め息をつきながらも、梶がたった一言感情をこめて発した言葉に、2日間の行動の鍵を見付けた。

裁判のシーン



ということで、梶を演じる寺尾聰を描いた。
そして、絵の中で寺尾聰が語ってるのは、梶が亡くなった自分の息子について問われた時に、梶がたった一言感情をこめて発した言葉(この絵だと感情が見えないケド)なのさ。

この小説(あえて小説、映画は記憶が薄いから)の最も良いと思わせられた点は、警視、新聞記者、裁判官などなどの人たちが、各章ごとに主人公になって、各人の目線・立場からこの事件を見ているところ。
もし、一人の視点で終始書かれていたら、「梶は事件の本筋は過不足なく白状してるんだから、関係なさそなその話は、もうその辺にしておいたっていいじゃん」って思って、最後のページに辿り着くことなく飽きちゃってたかもしれない。

それから。
思わず注目してしまった点。

この小説の中で梶という人柄を表す表現として、何度も何度も登場する「澄み切った目」。

キラキラしてるあきら。

・・・こ、こんなん?
ささやかにアイフル顔。

小説を読むときに、解説から開く癖のある私は、そこに書かれていた注意書きで、2日間のナゾについて読む前から見当がついてしまったのがカナシイ。

未読の方は、ラストから読まないように。
単行本に解説やあとがきは載ってなかったから。


横山 秀夫
半落ち


東映
半落ち
<管理人コメント> Amazonの在庫はあと1点だけらしい。(2005年9月30日現在)

森山直太朗, 御徒町凧, 中村太知
太陽/声
<管理人コメント> 映画の主題歌となったのは、森山直太朗の『声』。映画の内容と歌詞が見事にリンクしてる。とゆーか、この曲を主題歌にしただけでこの映画は成功してると思った。

本文作成中に何度か「♪~」と歌い出しを口づさんだ。思わずモノマネになってしまうのが、直太朗のスゴイところ。